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ベネズエラ情勢=リマG会議、ボゴタで開催=軍事介入の可能性を否定=効果乏しかった23日の行動=「得したのはマドゥーロ」の分析も

リマグループの会議でのグアイド暫定大統領(中央、twitter @jguaidoより)

リマグループの会議でのグアイド暫定大統領(中央、twitter @jguaidoより)

 【既報関連】混迷の度を増すベネズエラ情勢についての対応策を話し合うリマグループ諸国会議が、25日にコロンビアのボゴタで開催された。この会議にはベネズエラのグアイド暫定大統領と米国のペンス副大統領も特例参加し、「ベネズエラの民主化は、同国民の手によって平和裏に果たされなければならない」との宣言文を採択したと、25、26日付ブラジル各紙・サイトが報じた。

 「宣言は、軍事介入を望む米国に対する、明確な反対の意志表明」と、26日付フォーリャ紙は言及。ペンス米国副大統領は、「独裁者マドゥーロを排斥するためのあらゆる選択肢が卓上にある」とし、軍事介入も辞さずの立場だった。グアイド氏も、「軍事介入も選択肢の一部にいれるべき」との考えだったが、あてが外れた格好だ。
 ブラジルのアミウトン・モウロン副大統領は会議の後、「軍事介入は全く選択肢にはない。ブラジルはこれまでも常に、隣国の問題に関して平和的解決を提唱してきた」と語った。同副大統領は、ブラジル領土をベネズエラへの軍事侵攻ルートとして使う事を許可しないとも表明した。共にボゴタ入りしていたエルネスト・アラウージョ外相も、「米国が自分の立場を主張するのはわかるが、米国はそもそもリマグループの一員ではない。軍事介入の可能性はない」と語った。
 宣言文には、ベネズエラで起きている人道危機の責任者であり、支援物資を焼き、市民に銃を向ける事を命じたマドゥーロ氏の行為を国際刑事裁判所に訴えるとも書かれている。
 反マドゥーロ派は、「23日の支援物資搬入のため、ベネズエラ国民が国中で蜂起、カラカスから国境まで人の鎖を作り、ベネズエラ軍を無力化、その後、軍から離反者が続出…」といったシナリオを描いていたが、それは頓挫した。
 ベネズエラ軍からの離反者は、25日夜までの段階で、コロンビア側で167人、ブラジル側で7人に過ぎなかったし、ベネズエラ国民の蜂起もマドゥーロ体制を脅かすほどではなかった。
 しかし、ブラジル政府内には、「マドゥーロは人道支援物資を焼く事をためらわないような非道な人物」という印象が世界中に拡散したことを前進と見る向きもある。また、米国がベネズエラへの制裁措置を更に重くし、各国にも同様な措置をとるように求めた事に対しても、国連や米州機構のような国際機関の決定なら従うとの意向も示した。
 米国のシンクタンク、ウィルソン・センターのラ米部長シンシア・アーンソン氏は、「23日前後の騒乱で得をしたのはマドゥーロ氏。対抗勢力は戦略を誤った」と分析する。「末端の兵士が150人前後離反したところで、15万ともいわれる軍全体から見れば大した数ではない。マドゥーロ氏は軍以外にも、より凶暴な民兵集団を味方につけている。マドゥーロ氏退陣までにはまだまだ時間がかかるだろう」と見ている。
 なお、26日付のブラジルのニュースサイトは、「ベネズエラ軍からの離反者は270人を超えた」とコロンビア当局が発表したと報じている。