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《ブラジル》1人当たりGDPは8年前より低い=大型不況の影響、払拭できず

社会保障制度改革の成功に今年の経済成長はかかっている(参考画像・Marcelo Casal Jr./Ag. Brasil)

社会保障制度改革の成功に今年の経済成長はかかっている(参考画像・Marcelo Casal Jr./Ag. Brasil)

 2月15日にブラジル中銀は、正式なGDP(国内総生産)発表前の先読みとなる2018年の経済活動指数(IBC―br)が、17年比1・15%増だったことを発表した。
 18年のGDPが予測通りに1・15%増えたとしても、ブラジルのGDPは、2012年の水準よりも低い。
 また、12年から18年までに人口増加も起きているため、国民一人当たりのGDPは2010年の水準にも達していないと、ジェツーリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)が発表した。
 18年の国民一人当たりのGDPは、3万2443レアル(約97万3千円相当)で、10年の3万3923レアル(約101万7千円相当)を下回る。
 「2016、17、18年のGDPの成長ペースは弱く、2014年半ばから2016年いっぱいまで続いた不況のマイナス分を埋め合わせる事ができていない。人口はその間も増えているのだから、国民一人当たりのGDPが縮小する事は自明」と、Ibre/FGV分析員のジュリアナ・クーニャ氏は語る。
 18年のGDP成長率が、17年比1・15%増だったとしても、14年の水準に戻るためにはさらに5%の成長が必要だ。
 18年の正式なGDP成長率は、地理統計院が28日に発表する。
 昨年のGDPが伸びなかったのは、5月末のトラックストで物流が混乱し、インフレが進んだ事と、選挙前の不確実性とが重なり、雇用状況が停滞、投資や消費も伸び悩んだ事が原因だ。
 応用経済調査院(Ipea)のミクロ経済政策調査部門長のジョゼ・ロナウド・デ・ソウザ・ジュニオル氏は、「今年のGDP成長は、社会保障制度改革を達成できるかどうかにかかっている」と語る。
 Ipeaは今年のGDP成長率を2・7%と予測しているが、2014年の水準に戻るのは2020年まで待たなければならないと見ている。(2月27日付エスタード紙より)