下院での今年最初の法案投票で大敗した上、下院内での与党・社会自由党(PSL)への協力体制を築くことに失敗しているとして、下院内でのボルソナロ大統領に対する風当たりが強くなり、社会保障制度改革などの承認が不安視されていると、2月28日付フォーリャ紙が報じている。
ボルソナロ大統領は当初、従来の大統領が伝統的に行っていた政党連立を行わず、超党派の「農林」「銃」「福音派」などのグループを軸に支持を得ようとしていた。
だが、2月19日に行われた今年初の下院投票で、1月のボルソナロ大統領不在時にモウロン副大統領が署名した、情報公開法改定に関する大統領令に対し、政府側がわずか57票しか獲得できずに大敗。ボルソナロ大統領の議会対策の甘さをうかがわせた。
その上、ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)とのパイプ役を務めていた、大統領府総務室長官のグスターヴォ・ベビアーノ氏(PSL)が、ボルソナロ氏や次男カルロス氏との対立により更迭。さらに現在、もうひとりの調整役のサントス・クルス大統領府秘書室長官も、ケニアでの平和会議に出席中のため、オニキス・ロレンゾーニ官房長官(DEM)が臨時で調整役を代行している状態だ。
PSLからは、下院の政府リーダーにマジョール・ヴィットル・ウーゴ下議、上下両院共通の政府リーダーにジョイセ・ハッセルマン下議が選ばれているものの、PSLの議員は大半が新人で、政治経験の豊富な政治家に乏しい。そのため、これらのリーダーも、現時点では実質的に政局調整的な動きは何もできていない。つまり、全511議席中、55議席しか占めていない同党を支える他の勢力が全く見えていないのが現状だ。
そのPSLを支えるべき「下院内2番手の党」も、現状では、DEM、ブラジル共和党(PRB)、社会民主党(PSD)、民主運動(MDB)の4党が、「大統領がどう権力を分け合うのかの姿勢が見えない限り、協力はできない」として、その座を固辞している。マイア議長自身も「連邦政府にはPSL以外の協力政党がどこもない」と語っている。
こうした状況から、各政党の下院リーダーの間では、社会保障制度改革や、セルジオ・モロ法相の提案する犯罪防止法案を通過させることができるのかを不安視する声が強まっている。特に、社会保障制度改革に関しては、20日に行われたボルソナロ大統領の説明に多くの議員たちが不満を抱いており、種々の変更を含む動議提出などの動きが出はじめている。
連邦政府は早期の法案成立を目論んでいるが、現状では、法改正に必要な308票を集めることが本当に可能なのかと疑う声も出ている。
こうしたことから、ボルソナロ大統領には、議員割当金をばら撒くことや、協力を求めようと考えている政党の政治家を連邦政府の準閣僚クラスに就任させる位しか、道がなくなってきている。