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JICA横浜=全伯の移民史料館を視察=「資料を引継ぐ人材育てたい」

(左から)佐藤次期所長、熊谷館長、木田主任調査役

(左から)佐藤次期所長、熊谷館長、木田主任調査役

 亜、ブラジルにある各地の日本移民史料館における資料の保管状態を調査するために来聖していた、JICA横浜・海外移住資料館の熊谷晃子館長(同横浜センター所長)、総務課の木田克人主任調査役が、先月19日に報告のため来社した。
 各地を視察し、資料の管理状態や課題について調査した熊谷館長は「日語を解する一世がいる間でないと、散逸して何が何だか分からなくなってしまう傾向にある。まずは散逸を防止することが何より重要だ」と話す。
 今回の視察を受けて、資料の整理・分類を手伝うボランティア派遣を検討してゆくという。だが、「それだけでは不十分。現地で資料保存を引継ぐ人材を育成しなければならない。今年にも、人数を集めて日系人向けの研修を行い、資料館同士の横の繋がりを強化できれば」と見据えた。
 なお、一行は本紙の前身であるパウリスタ新聞、日伯毎日新聞の旧号の管理状態の調査も実施。「日本移民の資料として新聞社は非常に重要。デジタル化など出来ることから手伝っていければ」と見通した。


□関連コラム□大耳小耳

 JICA横浜海外移住資料館の熊谷館長ら一行が来社した日の午前中、今上陛下ご在位30年の紙面を書くために、1967年刊行のパウリスタ新聞の記事を調べていた。約40年前の新聞であり、紙がボロボロ、カバーも剥がれている状態だ。頁を捲っていると、手も痒くなってくるような気がするほど。本面でも紹介した「暁のお忍び」の一件の記事を探していたのだが、該当のものがなかなか見つからず、よくよく見たらその部分だけ抜け落ち別の所に納められいた。結局、探すのに一時間以上、時間を要した。紙面に目を通していると、陛下ご来伯の当時のコロニアの感激がひしひしと伝わってくる非常に貴重な資料だ。こうした旧号を整理し、デジタル化されて検索できるようになれば、移民研究者にとっても非常に有益だろう。