5日にボルソナロ大統領が自身のツイッターで拡散した、成人指定のビデオをめぐり、社会的に波紋が広がっている。7日付現地紙が報じている。
ボルソナロ大統領が流したのは、カーニバルのブロッコが通過する最中に、タクシー乗り場の屋根に3人の男性が上り、その中の一人で長髪かつ半裸の男性が尻の穴に指を突っ込んだりして踊った後に別の男性の前にかがみこみ、その男性の小便で長髪を洗う、という内容のビデオだ。
ボルソナロ氏はこれを紹介する際、「これを見せるのは良い気はしないが、残念ながら、これが昨今のカーニバルの現実だ」と書き、カーニバル中に行われたと思われたこの行為を批判した。
だが、この動画は成人限定のポルノ動画の一部だった。それを347万人もフォロワーがいる一国の大統領が流したことに多くの批判の声が集まった。
その中の一例は、野党のパウロ・テイシェイラ下議(労働者党・PT)による、「刑法13718条の、猥褻動画公開禁止条項に違反する行為」との批判だ。ランドルフ・ロドリゲス上議(REDE)も、「刑法1079条の犯罪責任法に違反する。大統領罷免の材料にさえなりかねない」と批判した。
また、大統領支持派からも、キム・カタギリ下院議員(民主党・DEM)などが、「カーニバルを批判したいなら他の事例を出せばよい話であり、あのような猥褻なものを紹介していい理由にはならない」と否定的な意見を述べている。
大統領府の社会通信局(SECOM)が行った緊急調査では、69%が否定的な見解を示したという。
こうした事態を受け、ボルソナロ大統領は6日夜、「カーニバルを批判する気持ちはなかった。ただ、カーニバルの精神性をゆがめようとする行為が許せなかったのだ」との弁明を行った。
これは、騒ぎが予想外に大きくなったことで、アウグスト・エレーノ大統領府安全保障室(GSI)長官とオタヴィオ・レゴ・バロス大統領府広報官が、ボルソナロ氏と話し合った末に出した結論だったという。
今回の件は、英国のガーディアン紙、米国のニューヨーク・タイムス紙、スペインのエル・パイス紙といった、世界的な大手新聞でも大きく報じられ、大統領としての品格が問われた。
エスタード紙によると、ボルソナロ氏が大統領就任後に流した515回のツイートの中で、社会保障制度改革に関するものはわずか1%の5回で、犯罪防止法に関するものは2回のみだったという。最も多かったのは「フォロワーへの謝辞」の95回で、「イデオロギーや教義」に関するものが51回、「マスコミへの批判」が31回だったという。