ボルソナロ大統領は7日、リオで開かれた海軍海兵隊記念日の式典で、「ブラジルの民主主義は軍部次第」と発言し、物議を醸した。5日には自身のツイッターで閲覧規制のかかった成人映像を拡散して国際的に問題になったばかりだった。8日付現地紙が報じている。
ボルソナロ大統領はこの式典で、「私は昨年の選挙で選ばれ、大統領に就任したことにより、この国を変えるという任務を受け取った」とした後、「この任務は良き人々と共に遂行される。国を愛し、家族を愛し、我々と似た考えの国と近づくことを望み、民主主義を愛する人たちと。よって、民主主義と自由は、君たち軍人がこのような国の実現をと願った時、初めて成立する」と語った。
この発言はネット上で早速問題視され、批判的な反応が相次いだ。ボルソナロ氏が敵扱いしてきた、労働者党(PT)や社会主義自由党(PSOL)など、左翼関係者の反感は特に強かった。
さらに、ボルソナロ氏が称えたはずの軍の上層部や軍出身の閣僚の間でも、この発言の受けは悪いという。フォーリャ紙によると、彼らは「民主主義と自由は軍にかかっている」という表現はさほど気にしていないが、「我々と似た考えを持つ良き人々」とボルソナロ氏が定義する概念と軍を直接結びつけられることを嫌悪しているという。
同紙によれば、ボルソナロ氏の次男カルロス氏がコントロールしているSNSサイトが敵とみなしている、意見を異にする人たちを踏みつぶす準備が出来ているとみなされるのを、軍部は特に嫌っているという。
こういった事情もあって、共に陸軍出身のアミウトン・モウロン副大統領とアウグスト・エレーノ大統領府安全保障室(GSI)長官は同日午後、「大統領の発言は曲解されている」と報道陣に訴えた。モウロン氏は「軍が民主主義と自由を守るための機関として機能せず、民主主義などの価値が消滅している、ベネズエラのような国と比較して、あのような物言いとなったのだ」と語った。エレーノ氏は「民主主義にとって、軍が最後の砦という意味の発言」とし、「民主主義が国民のもの」という考えを否定しているのではないとの考えを示した。
今回の発言は「社会保障制度改革では軍も犠牲を払うべき」との発言に先立って行われており、同制度改革案の審議には必須と議会が主張する軍人への年金支給を制限する案を出す前に、軍に気を遣おうとしたボルソナロ氏のリップ・サービスが過ぎた可能性がある。
ボルソナロ氏は昨日付本紙でも報じたように、カーニバル期間中の風紀の乱れを示すため、閲覧規制のかかった公衆の面前での放尿映像をツイッターで拡散し、国際的に批判を受けたばかりだ。連邦政府内部では、失態が相次ぐことを危惧する声が広がっている。