ブラジル国内全27州政府(便宜上、首都ブラジリアのある連邦直轄区(DF)も州扱いとする)中、サンパウロ州、リオ州、DFなどの8州は、「2016年から2018年までの非正規雇用増加率」が全国平均の1・8%を上回ったと、8日付フォーリャ(F)紙が報じた。
非正規雇用増加率トップは、4・7%だったエスピリトサント州で、以下、サンパウロ州(4・2%)、リオ州(42%)、リオ・グランデ・ド・ノルテ州(3・1%)、セルジッペ州(3%)、パラナ州(2・7%)、DF(2・2%)、ミナス州(2%)と続く。この調査は民間のコンサル会社テンデンシアス(T)社が行ったもので、F紙が独占で報じた。
また、昨年の就業人口9180万人中、40・8%にあたる3750万人は非正規雇用だった。
国内全27州の内、北東部9州と、北部7州は全て、非正規雇用率が全国平均を上回った。南部や南東部、中西部では、エスピリトサント州だけが全国平均を超えた。
非正規雇用率が最も高かったのはパラー州の61・4%で、2位のマラニョン州は59・8%、3位のピアウイ州は58・8%だった。
ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団(FGV)所属調査員のダニエル・ドゥケ氏は、「北部、北東部の貧しい州の住民は学歴も低く、正規契約で雇用できるような産業もない」と見ている。
ドゥケ氏は「増えているのは非正規雇用だけ」とも語り、製造業などが北部、北東部より多く、雇用回復の勢いも強い南東部のサンパウロ州、リオ州、ミナス州などで、非正規雇用増加率が高く出ている理由を説明した。
ただし、今回の調査責任者の一人でエコノミストのチアゴ・シャヴィエル氏によれば、「『正規雇用が減り、非正規雇用が増えてしまう…』といった懸念はそもそも南部、南東部にだけ当てはまる事。北部や北東部は元々、非正規が中心だった」という。北部、北東部各州の経済は、民間企業、民間事業の規模が小さく、雇用の多くを公的機関に頼っている点も是正が必要だ。
北東部のマラニョン、ピアウイ両州では、民間企業の従業員の正規雇用率が50%で、全国平均の75%を下回る。まして、南部、南東部のサンタカタリーナ州(90%超)、サンパウロ州(80%超)とは比較にならない。
シャヴィエル氏は、「平均値だけではブラジルの実情は分からない。“裕福な南部と貧しい北部”の格差は未だに大きい事を忘れてはならない」とまとめた。