ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル・銃規制緩和問題》銃取得は「元から簡単だった」=地元紙記者が申請手順を検証=「大統領令は不要」と結論

《ブラジル・銃規制緩和問題》銃取得は「元から簡単だった」=地元紙記者が申請手順を検証=「大統領令は不要」と結論

「ボルソナロ大統領の規制緩和の前から銃所持は容易だった」と伝える、10日付のフブラジル紙

「ボルソナロ大統領の規制緩和の前から銃所持は容易だった」と伝える、10日付のフブラジル紙

 肝心の社会保障制度改革はまだ委員会審議さえ始まっていないが、ボルソナロ政権が発足直後に行った“仕事”に、銃規制緩和のための大統領令がある。1月15日に署名された同大統領令により、一般市民が銃を所持するための条件がどのように変化したのか、10日付現地紙が報じている。

 「銃規制緩和」を公約していたボルソナロ新政権が正式発足する直前の昨年12月に、現地紙記者は銃所持のための手続きを始めた。同記者は、手続きを「自動車の運転免許を取るより簡単」と評した。心理テスト、射撃試験などに2カ月。費用はサンパウロ市では1500レアルだった。

 銃所持申請者には、安全知識、銃器の定義と目的、関連法令を学ぶ講習も義務付けられている。

 銃所持許可には、連警管轄の、「正当防衛を目的とした自宅、もしくは職場での所持」と、陸軍管轄の「スポーツ射撃用途」がある。

 連警で自衛のための銃所持許可を得た人は、銃を持ち出すと禁固2~4年となる。また、発砲が許可されるのは、本人か家族の命が危険に晒された時だけで、「泥棒を威嚇するために空などに向かって撃ったりすれば、最大4年間、刑務所で麻薬密売人らと共に過ごす羽目になる」と皮肉交じりに伝えている。

 実技訓練では、「銃は想像より重く、両手で持たなくてはいけないし、引き金も堅い」と表現。「特別な力を持った気分にもならず、恐れも湧かず、巷でいわれるようなストレス発散にもならなかった。射撃の腕前を褒められたが、TVゲームで散々、エイリアンや悪者を撃ってきたせいだろう」ととぼけている。

 1月の大統領令では、「銃の所持の必要性」を申請する義務が定められた。だが、「農村部、または、年間殺人発生率が10万人当たり10人を超える州の都市部では、護身用に銃を所持する事が認められる」と書かれており、実質、ブラジル全土が当てはまる。

 その他に、「所持許可更新が、これまでの5年おきから10年おきに変更」「小児、青少年、精神障害者と共に住んでいる人は、銃の保管庫、もしくは安全な保管場所がある事を宣言(証明ではない)する必要がある」「所有上限は1人4丁まで」などが大統領令で決まった。

 連警から銃所持の許可を得る手続きが終了しても、証明書などは発行されない。許可を得た後、銃を実際に購入し、その領収書(nota fiscal)を連警に送って初めて、購入者データと銃のデータが記載された所持許可書の発行となる。

 地元紙は、「大統領令は特に必要なかった。難しかった事が容易になったわけではなく、元から簡単にとれた」と結論付けている。