3期目を迎える西森ルイス連邦下議(PR)は、自身が推進する「農薬規制緩和法案(Projeto de Lei N 6299 de 2002)」の議会承認を今年度の目標に掲げている。先月19日に来社した同下議は、その重要性を説いた。また、謝肉祭の期間中に訪日し、麻生太郎副総理兼財務大臣、河村建夫衆議と会談。来月に解禁となる日本の外国人労働者の受入れ拡大施策に伴ない、将来的なブラジルからの労働者流入を見込んだ送り出し支援策の提言も行った。
「この改革なくして、ブラジル農業の発展なし」――西森下議がこう強く意気込んでいるのが、農薬規制緩和法案だ。現行の農薬規制法は1989年に制定されて以降、30年間、殆んど見直しが行われてこなかった。
現在、許認可待ちの新農薬は約1800件もある。うち95%は新成分を伴なわないものであるにも関らず、許認可には平均8年近くかかる。
加えて、許認可の窓口が農牧食糧供給省(MAPA)、国家衛生監督庁(ANVISA)、環境・再生可能天然資源院(IBAMA)と三つもあり、非常に煩雑だった。
この現状を踏まえて、新法案ではMAPAに窓口を一元化。これにより、審査期間を最長2年まで短縮するというもの。
西森下議は「ブラジルは世界最大の農薬使用国と言われるがこれは誤り。オランダや日本の方が多い。それに使用される農薬のうち80%は綿や砂糖黍などの食卓に並ばない農産物だ」と話し、「ブラジルの農業発展を阻む外国勢力が環境団体を使って規制緩和を妨げてきた背景がある。その一方、国内では無知蒙昧が多い。今後、啓蒙活動を展開する」と説明。
今法案の重要性について、「反対派は農薬被害がひどくなるような悪質なデマを流しているが、今使っている古い農薬より害の少ない新農薬を使えるようにする法案。新農薬の審査過程を迅速化することで、農業の質、量の向上を図り、国際競争力を高めることを目的とした最良の提案」と強調した。
一方で、ボルソナロ大統領就任式に出席していた山口泰明衆議(日ブラジル友好議員連盟事務局長)を通じて、安倍晋三内閣総理大臣にブラジル人労働者送り出し支援策の提言をしていた西森下議は、カーニバル期間中に訪日し、麻生太郎副総理らと協議を行った。
新たな在留資格「特定技能」は4月に解禁され、今後5年間で最大約34万人の受け入れを見込む。当面受け入れ対象国は、アジアを中心とする9カ国のみ。だが本提案は将来的なブラジル対象国入りを見込んだもの。
全伯の日系団体が訪日就労候補者の選考を行い、国外就労者情報援護センター(CIATE)や日伯協会(IBJ)と協力して、文化、生活習慣に関する事前研修等をするシステムを提言した。
「言語のみならず、カルチャーショックは大きな問題。それによりデカセギ労働者と地域住民との間に軋轢を生んできた。だからこそ同じことを繰り返さないために、事前に最低限の生活習慣やマナーを身につけることが必要。これは日系団体の活性化の機会にも繋がるはず」と話した。
最後に今の政界の動向については「新政権はゴタゴタしているが、一年近く経てば安定する。方向性は非常によく、画期的な政策を実現させようとしている。社会保障改革は絶対避けて通れない。それに続くのが税制改革になる」と見通した。