ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》社会保障制度改革 不安要素多い憲政委員会発足 委員長や報告官は1年生議員 軍の要求とのすり合わせも課題

《ブラジル》社会保障制度改革 不安要素多い憲政委員会発足 委員長や報告官は1年生議員 軍の要求とのすり合わせも課題

マイア議長(Tomaz Silva Agencia Brasil)

マイア議長(Tomaz Silva Agencia Brasil)

 下院が13日、憲政委員会(CCJ)など、14の委員会を開設した。残る11の委員会は14日に開設される。連邦政府が最重要課題とする社会保障制度改革法案を最初に審議するCCJは、ボルソナロ大統領の社会自由党(PSL)など、ロドリゴ・マイア議長(民主党・DEM)の再選を支持した政党の議員を中心に組まれるが、法案承認までの前途は容易ではないと13、14日付現地紙、サイトが報じている。

 CCJは66人からなり、その内の39人がマイア議長の議長再選に協力した政党の議員から選ばれる。PSLからは7人が選ばれ、フェリペ・フランシスキーニ氏が委員長、ビア・キシス氏が副委員長をつとめることになった。

 報告官は来週選ばれるが、現時点で立候補しているのは23歳の下院最年少議員、キム・カタギリ氏(DEM)のみだ。

 カタギリ氏が当選した場合、正副委員長、報告官の3人をいずれも一年生議員がしめることになる。CCJは各種法案が憲法をはじめとする法規に抵触しないかを検討する場であるだけに、政府内には、就任したての下議に要職を一任することを不安視する声もある。

 加えて問題となっているのは、軍人らに対する年金の扱いだ。これに関しては、国防省からの意見書をパウロ・ゲデス経済相のチームが検証後にまとめた改革案が20日に提出されることになっている。

 マイア議長は、それが届くまでは社会保障制度改革に関する投票は一切行わないと明言している。下院内部では、そうすると、政府の希望する日程が1週間ずれ込むため、軍向けの改革案が届く前に審議開始をと求める勢力も存在する。

 軍人らに対する社会保障制度改革に関する軍の意見書は既に経済省の手渡されている。現時点では、最低勤務年数が30年から35年に延びるものの、「男性が65歳、女性が62歳」から受給という一般人と違い、最低年齢に達してなくても満額をもらえる、給与から天引きする積立も7・5%が10・5%に変わるだけ、移行期の勤務期間延長率も、民間の50%が15~20%など、一般公務員や一般労働者よりかなり緩いものになる。経済省や下院がそのまま受け入れるかは未知数だ。

 また、CCJのブロックごとにも波乱要素はある。マイア氏支持派には民主運動(MDB)や進歩党(PP)などの大型政党もあるが、社会保障制度改革に関する意見はそれぞれ異なっている。

 民主労働党(PDT)を筆頭とする小政党も14人分の枠があるが、このブロックでも意見がまとまっていないという。

 労働者党(PT)をはじめとした左派の野党ブロックも、12人分の枠がある。