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(サンパウロ市)=ラテン・アメリカ記念館が30周年=鳴り物入りで出来るもいまだに決めてに欠ける建物

ラテン・アメリカ記念館(公式サイトより)

ラテン・アメリカ記念館(公式サイトより)

 1989年3月にサンパウロ市西部バラ・フンダに出来たラテン・アメリカ記念館が、18日で落成30周年を迎えた。

 同館建築は、文化遺産に認定されたブラジリアの建設にも貢献した世界的な建築家のオスカー・ニーマイヤーが手がけ、話題を呼んだ。敷地内部にある、手の生命線の脈からの流血が南米大陸の形をしている石碑は非常に有名だが、それに匹敵するような「場所」としてのイメージがまだ確立されていないことが課題とされている。

 基本的には総合文化施設で、展示会やコンサート、映画の上映、屋外ではフード・マーケットやカーニバルのブロッコの開催などを行っている。だが、「では、何が決定的?」と言われると難しいものがある。

 一応、年間来場者は250万人で、サンパウロ美術館(MASP)の50万人やブラジル銀行文化センター(CCCB)の93万人を超えてはいるから、経営は成り立っている。

 ただ、それはコンサートやブロッコの開催で稼いでいるだけで、普段はガラガラの印象も。

 メモリアルの関係者としては、「もっとイベントで多くの人たちを」と望んでいる。

 ただ、コンサート会場としても、いまひとつ、アピールに欠ける実情はある。現在、ここで開催して話題となるのは、11月に行われるミニ・ロック・フェスティバルの「ポップロード・フェスティバル」くらいのもので、他には目立つものがない。

 同館のコンサート会場は、人数的には屋外会場として1万人近くを呼び込める。ただ、バラ・フンダ駅周辺にはコンサート会場が密集しており、他の会場に注目が奪われている。大規模コンサートには、サッカー・クラブ、パルメイラスの本拠地アリアンツ・パルケがあるし、数千人規模の会場なら、同じく駅前の屋内会場エスパッソ・ダス・アメリカスもある。

 また、バラ・フンダ駅からコンサート風景が丸見えなのも、いまひとつムードに欠ける。会場内も、コンクリートのせいで日差しの照り返しが強く、日陰で休める場所が少ないなどのウィーク・ポイントがある。

 また、そうした屋外イベント以外にも、建物の屋内を子どもたちへの教育施設として使うことを薦める声もあるという。サンパウロ市内では、CESCという市の文化施設でそうしたことが行われており、好評だが、それに倣う形だ。

 いずれにせよ、「まだ何とか使いがいがあるはず」との期待を持たれながら、メモリアルは次の時代を迎える。(18日付アゴラ紙、同G1サイトなどより)