米国を訪問中のボルソナロ大統領は18日、ブラジル・米国商工会議所での講演会で、「米国はベネズエラの危機的な状況を解決するために必要な軍事力を有している」と語った。だが、すぐに広報が「軍事介入という意味ではなく、外交的な手段によるもの」との補足を行うなど、大統領と連邦政府内の思惑の違いが浮き彫りになる瞬間を見せた。19日付現地紙が報じている。
ボルソナロ大統領は18日に行われた商議所の講演会で、ベネズエラの政情不安などについて、「米国の経済力や軍事力を認め、共に解決すべき問題がいくつかある。ベネズエラ問題はその一つで、現状を打破し、同国の国民を自由にするためには米国の支援が不可欠だ」と語った。
だが、この直後、「米国がベ国に軍事介入したらブラジルは支援するか」との質問が飛び出し、大統領府広報官のレゴ・バロス氏が、「我々は、ベネズエラ問題はあくまでも“外交的な手段”で解決すべきだと考えている。軍事介入は、ブラジルの憲法に反しており、ありえないことだ」と否定した。
他方、ホワイト・ハウス側は同日、「種々の問題解決に向け、ベネズエラ政府に圧力をかけるため、ベ国軍と良好な関係を保っているブラジル軍の協力を仰ぎたい」との意向を明らかにした。
ブラジル軍は歴史的に、「他国で行われている紛争には介入しない」をポリシーとしている。バロス氏は現役の陸軍軍人であり、同じく退役軍人であるアミウトン・モウロン副大統領も、ベネズエラへの軍事介入を既に否定している。
ボルソナロ氏はこれまでのブラジル大統領を“非米国的”と呼んで批判した後、トランプ大統領についても、「自分と同様、フェイク・ニュースの標的とされ、真実の姿が語られていない」として、親近感を抱いていると語った。
ボルソナロ大統領は19日午後、ホワイト・ハウスでトランプ大統領との会談を行っている。
また、ブラジル政府は18日付官報に、米国、カナダ、オーストラリア、日本の4カ国の国民に対し、90日間はビザなしでの入国を認めるとの大統領令を掲載した。詳しい内容は、19日に米国で大統領自身によって公表される。
さらに、ボルソナロ大統領はこの日、ブラジル大統領としては史上はじめて、同国の諜報機関である中央情報局(CIA)を訪れている。
一方、米国との接近を望む大統領との波長の合わなさはパウロ・ゲデス経済相にも及び、同じ講演会の席上で、「米国からの投資も大歓迎だが、中国マネーは今後も必要だ」と主張。テレーザ・クリスチーナ農相も17日に、ブラジルの農産物貿易における中国の重要性を認める発言を行っている。