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ブラジル株=史上初の10万ポイント突破=実体経済との乖離に疑問の声=国外投資資金の流入が鍵

サンパウロ市セントロの株式取引所(Caliel Costa / flickr)

サンパウロ市セントロの株式取引所(Caliel Costa / flickr)

 サンパウロ市株式市場指数(Ibovespa)は18日、先週末の終値から0・86%アップの9万9993・92ポイントで取引を終え、史上最高記録を更新した。また、取引の真最中の午後2時50分頃には、一時的に10万ポイントのラインを突破し、1万35・36ポイントを記録したと、19日付現地各紙が報じた。

 ただし、「株価史上最高値更新、一時は10万ポイント超」という未曾有の事態後も、各紙は「2月の景気信頼感指数は、5部門中4部門で前月比マイナス(ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団・FGV調べ)、1月GDPの前触れとなる中銀の経済活動指数(IBC―Br)も前月比マイナス、中銀フォーカスの今年のGDP成長率予測も下方修正されたのに、株価だけ謎の上昇」の分析が大方だった。

 2月の信頼感指数は、建設部門、サービス部門、商業部門と、消費者の4部門でダウン。工業部門だけが唯一、プラスとなった。

 1月のIBC―Brはマイナス0・41%だった。また、今年のGDP成長率予測は、最新の18日付では2・01%で、先週の2・28%からは0・27%ポイント、先月の予測値2・48%からは0・47%ポイントも落ちている。昨年6月現在の、今年のGDP予測は3%だった。

 社会保障制度改革の難航や、芳しくない年初の経済指数により、新政権発足当初存在した“高揚感”は冷え込んでいる。消費者の購買力に直結する失業率は、1月末締めの3カ月間の平均値が12%となり、昨年12月末までの3カ月間の平均値11・6%より微増した(地理統計院・IBGE調べ)。

 FGVのアロイジオ・カンペロ氏は、選挙後にボルソナロ政権への期待感が実態以上に膨らみすぎたが、膨らみすぎた期待の修正にはまだ数カ月間かかると見ている。

 全国クレジット機関協会(Acrefi)ニコラ・チンガ氏は、「株価はより長期間のスパンを見て動いている。過熱した期待が収まっても、長期スパンではまだポジティブだ。2月にいったんブレーキが踏まれたが、“ブラジル経済のバス”は、ブレーキが壊れたわけではない」とした。

 他方、19日付エスタード紙は、「株価最高値更新は、国外から多くの資金がブラジル株に流れたため」と分析した。3月はブラジル株式市場に4億9760万レアルが流れ込んだ。2月の26億レアル流出とは反対の動きだ。

 XPインヴェスチメント社主席分析員のカレル・ルケチキ氏は、「社会保障制度改革が成立した時点で初めて、国外からの本格的な資金流入が起こる」と語る。エスタード紙によると、レアル価ではほぼ10万ポイントの株価も、ドル換算では2万5855ポイントにすぎず、2008年5月の4万4616ポイントには遠く及ばない。

 なお、19日の株式市場は午後5時の時点で9万9688・6P、為替は1ドル=3・789レだった。