ボルソナロ大統領は20日、軍関係者の年金改革法案をロドリゴ・マイア下院議長に提出したと、20、21日付現地各紙、サイトが報じた。
連邦政府は2月20日に、公務員、民間企業職員の年金改革案を含む社会保障制度改革のための憲法改正案(PEC)を提出。PEC提出時に「軍の年金改革は法改正で対応」「その法案は1カ月後に提出」と約束していた。
年金受給に必要な軍役を現行の30年から35年に、給与からの年金天引き率も7・5%から10・5%に引き上げることで、今後10年間での政府負担は約973億レアル軽減されると試算された。
しかし、ボルソナロ大統領は、同時に軍の制度改革案も提出。資格試験に通った人への給与増額率増大など、事実上、軍人への支払い増となる軍制度改革による政府の負担増は、今後10年間で約868億レアルとなり、年金改革と差し引きした後の政府の負担減は、10年間で約105億レアルだ。
「軍関係者」には軍警と消防士も含まれる。両者への支払いは州の管轄だ。そのため、軍の年金改革は、今後10年間で各州の財政負担を総計520億レアル軽減させることになる。
法案提出後の記者会見で、軍関係者は「軍は19年間も制度改革が行われていなかった」とし、年金改革と“抱き合わせ”での制度改革の正当性を主張。軍の中でも最高位の「大将」でも基本給は1万3500レアルなのに、国税庁の新人の基本給は2万レアルを超えている。
経済政策スタッフからは、「軍制度改革による負担増は当初、年金改革による負担削減分を100億レアル上回っていた。提出ギリギリになってようやく、負担削減分が負担増の分を上回ったのが実情」との声も聞かれる。
国防省の特別広報官エドゥアルド・ガリド氏は、「軍人には残業手当も夜間手当も危険手当もFGTSもつかない。ブラジル国民は、軍人にわずかばかり報いる事に理解を示してくれると確信している」と語った。
経済省社会保障局長のレオナルド・ロリン氏は、今回提出された法案により、軍人関係者年金に伴う負債は減少するとしたが、具体的な数字の明言は避けた。昨年度は439億レアルの赤字だ。
年金受給に必要な軍役が35年となるのは軍歴10年未満の軍人で、軍歴10年以上15年未満は33・4年、15年以上20年未満は32・5年、20年以上は31・7年だ。
年金積立のための天引き率の引き上げも、20年8・5%、21年9・5%、22年10・5%と段階的に行われる。
ボルソナロ大統領は法案提出時に短い演説を行い、その中で「社会保障制度改革を遅くとも今年半ばまでに成立させ、国外に『ブラジルは変わった』と知らしめるため、議員の方々には謙虚に法案に賛成することをお願いしたい」と語った。