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《ブラジル》マイア議長=ボルソナロ大統領次男の発言に憤慨=「議会工作はもうやらない」=軍人年金改革への悪評も

ロドリゴ・マイア下院議長(Tania Rego / Ag.Brasil)
ロドリゴ・マイア下院議長(Tania Rego / Ag.Brasil)

 【既報関連】ボルソナロ大統領(社会自由党・PSL)が20日に提出した、軍人年金改革案と軍の構造改革案(事実上の賃上げ)に議会内で反発の声があがる中、ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)が、「社会保障制度改革成立のための議員説得工作はもうやらない」と発言したと、22日付現地各紙が報じている。

 ボルソナロ大統領の次男でリオ市会議員のカルロス・ボルソナロ氏(キリスト社会党・PSC)が行ったネット批判に憤慨したマイア議長は、パウロ・ゲデス経済相に「政権の助けになればと思っているのに、政権はそれを必要としていないようだ。俺はまともな政治家。古い政治家なんかじゃない。古い政治家呼ばわりするなら、降りるぞ」と電話した。

 社会保障制度改革は憲法改正案(PEC)にあたり、議会定数の6割、308票以上の賛成が2度必要だ。マイア議長は、この困難な「308票の票固め」を前テメル政権期から行っている。

 しかし、ボルソナロ大統領の所属政党、社会自由党(PSL)の議員たちが、テメル前大統領(民主運動・MDB)らの逮捕を喜び、「民主社会党(PSDB)のジェラルド・アルキミン党首は巨大犯罪組織PCC(州都第一コマンド)と繋がっているのではないか?」と迂闊な発言をしていることも、「MDBやPSDBの賛成が得られなくなる」と、マイア議長に頭を抱え込ませた。

 ゲデス経済相は電話口で必死にマイア議長の癇癪を抑えようとしており、周りの議員たちもマイア氏をなだめたと伝えられている。

 他方、20日に出された軍人年金、軍の構造改革法案への悪評も続いている。

 軍人年金は、年金積み立ての給与天引き率の上限が10・5%だが、PECの場合、所得が多い人の天引き率は最大22%になり得る。

 軍人年金では、受給開始最低年齢は決められておらず、必要な軍歴年数(最大35年)を満たせば何歳からでも受け取れる上、最初から満額受給で、その後の調整も保障される。だが、PECでは最低受給開始年齢を満たすまで受け取れないし、条件ぎりぎりでの受給では満額の6割しか受け取れず、満額受給には40年の積み立てが必要だ。

 サンパウロ総合大学経済経営会計学部(FEA/USP)のシニアプロフェッサー、エリオ・ジルベルスタイン氏は、「軍人年金の改革で削減できる政府負担が、10年間で104億レアルというのは少な過ぎる。2月に政府が出したPECが社会の他のセクターに求める削減効果1兆レと比較すれば、微々たるもので、政府が最初に示した、『負担を平等に分かち合う』の大原則が守られていないことは明らかだ」と語っている。

 

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