ベネズエラで21日未明、体制派の国家情報機関(Sebin)の隊員が反体制派の国会議員の自宅に侵入し、暴行などを加えた後、フアン・グアイド暫定大統領の秘書室長を連行するという事件が起きた。
21、22日付ブラジル国内紙やサイトによると、暴行を受けたのは、反体制派議員のセルヒオ・ヴェルガラ氏で、現地時間の午前2時(ブラジリア時間午前3時)過ぎ、覆面を被った15人余り(30人との報道もあり)の男が自宅に侵入。同氏を床にねじ伏せるなどの暴行の上、同氏を約2時間軟禁状態に置いた。
ヴェルガラ氏は議員の不逮捕特権を主張したため、連行を免れたが、男達はその後、グアイド氏の側近で、ヴェルガラ氏の隣に住むロベルト・マレーロ氏の自宅に侵入、マレーロ氏の身柄を拘束・連行した。
マレーロ氏が連行されるのを目撃したヴェルガラ氏は、マドゥーロ政権による不法な逮捕だと告発。グアイド氏もツイッターなどで、側近が拘束された事を報じた。
ブラジルなどが参加するリマグループは即刻、マドゥーロ政権を強く批判し、マレーロ氏の即時釈放を求めた。
同グループでは、ブラジルやアルゼンチン、カナダ、コロンビア、コスタリカ、ガテマラ、ギアナ、チリ、ホンジュラス、パナマ、パラグアイ、ペルーが、ニコラス・マドゥーロ氏の再選は無効とし、グアイド氏支持を表明。民主的な選挙の実現も求めている(メキシコとボリビアはマドゥーロ氏を支持)。
米国は、マドゥーロ政権は大きなミスを犯したとし、新たな制裁を示唆しつつ、マレーロ氏の釈放を求めた。国連や欧州連合(EU)もマドゥーロ政権を批判し、マレーロ氏釈放を求めている。
べ国内務省はマレーロ氏はテロ集団幹部と説明した。7日に起きた広域停電(約1週間で回復したが、カラカスなどではその後も繰り返し発生)はグアイド氏を支持する米国の仕業とのマドゥーロ氏の主張を受け、同国検察は先週、グアイド氏との関係を捜査し始めたと発表している。
なお、Sebinは同国最高の諜報機関で、副大統領に属す内部治安部隊。同国副大統領のデルシー・ロドリゲス氏は、マドゥーロ氏に最も忠実な政治家の一人だ。