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ノロエステ連合総会=盆踊り開催地巡り紛糾=アラサツーバ新旧会長割れる=「生きた日本文化絶やすな」

総会の様子

 ノロエステ連合日伯文化協会(安永信一会長、傘下34団体)は「第61回定期総会」を今月24日、アラサツーバ日伯文化協会会館で催し、傘下団体から代表者約100人が参席した。昨年に眞子内親王殿下のご歴訪があったのをきっかけに勢いづく同地。地域活性化を見据えて若手を呼んで発表が行われた一方、連合最大の催しであるノロエステ盆踊り大会の開催地問題で議論が白熱して紛糾する場面も。安永会長が仲立ちして妥協案を提示し、同地での継続が決定された。

 

 最大の争点は、ノロエステ盆踊り大会の開催地問題だ。昨年は、上塚植民地入植百周年式典に併せてプロミッソンで特別に催された。だが例年はアラサツーバで開催され、約3~4千人がノロエステ全体から訪れる大イベントだ。

 ところが、地元の阿部ネルソン清会長は「費用がかさむうえ人手が足りなくなり、婦人部も疲れている。年々困難さが増しており、悩みは尽きない。この際、持ち回りにしては」と提案した。

 これに対して、白石一資元アラサツーバ会長は「ここで開催するのは、ノロエステ線の真ん中に位置し、地理的に一番都合が良いから。持ち回りにすれば遠方になって参加できなくなり不公平を生む」と苦言を呈した。

 連合傘下の団体は、バウルーからトレス・ラゴアスまで約340キロに跨り、アラサツーバがその中心に位置する。昨年の会場プロミッソンはそこから約90キロ南東に位置し、帰宅時間を心配して参加を見送る地域もあった。

 白石元会長は「プロミッソンでは会場設営に費用が嵩んだ。持ち回りにするとあちこちでその問題が起きる」と指摘。「一度辞めれば盆踊りが消滅してしまうことも有り得る。それは即ちコロニアの消滅だ。日本文化を絶やさず続けていく大きな志が必要だ」と檄を飛ばし、アラサツーバ新旧会長の意見が割れた。

 田中オズワルド・ビリグイ会長が「人手不足というが今日も大勢の婦人部が働いている」と指摘すると、地元からは「それは幻覚。大変さは開催地でなければ分からない」と紛糾する場面も。

 最後に、安永会長が「人手不足が問題なら、各地から応援を送ってはどうか」と提案。「アラサツーバの伝統ある盆踊りを断ってはいけない。盆踊りは老若男女が一同に集う、生きた日本文化だ」と強調し、同地での継続が決定した。

 その他、昨年度の事業報告ならびに会計報告が行われた。収入2万6331レに対し、支出4万1819レとなり、1万5488レの赤字に。眞子内親王殿下の歓迎関連が主因のため、それを除けば差引きがほぼゼロになることから、今年度の会費は一会員あたり3レで維持された。

 来賓として野口泰在聖総領事、ジラドール・ボルジェス同市長、飯星ワルテル元下議、西尾ロベルト義弘宮坂国人財団理事長、清原ケンジ文協会長代理らも出席した。

 

 

関連コラム・大耳小耳

 ノロエステ連合総会では、外務省の中南米対日理解促進交流事業に参加したプロミッソンの安永修さんが結果報告したほか、昨年、リンスで連合と共催で次世代育成を目的としたシンポを催したブラジル青年会議所(JCI)の村上パトリシア元会頭が、活性化事業「110+10」を紹介。議員生活12年間中の支援に謝意を表わした飯星元下議は「伝統的な日本を維持するノロエステのような連合組織は珍しい。日系社会の将来を見据えて若者を呼んでいる」と話し、週1回のペースでサンパウロを訪れ、若手にも広く人脈を築いてきた安永会長の手腕を称えた。続いて、野口総領事は「眞子内親王殿下に対する温かい歓迎に改めて感謝申し上げます」と謝意を述べ、ボルジェス同市長も「日本移民が開拓し、発展をもたらしたこの地域において殿下をお迎えできたのは、大きな喜び」と感動のご歴訪の余韻に浸っていた。