サンパウロ州は27日、今年2月に州内で発生した殺人(加害者側に殺意があった場合のみ。過失による死亡事故などは含まない)の犠牲者数が219人で、2002年の調査開始以来、最低だったと発表した。
今年2月の数値は、昨年2月の殺人事件の犠牲者数246人と比べ、11%減った。284人だった今年1月と比べると、23%減っている。
これまでは、昨年9月の232人が最低値だった。調査が開始された2002年は、2月の殺人事件の犠牲者数が980人だから、4分の1以下に減ったことになる。
殺人事件の件数も212件で、1月の237件より10・5%減った。
また、殺人未遂は1月の330件から260件に、強盗殺人の犠牲者も17人から12人に、強姦件数も1071件から946件に減少した。昨年2月は、殺人未遂が265件、強盗殺人の犠牲者が23人、強姦事件が999件だったから、いずれの数値も、前月比、前年比共に減少したことになる。窃盗や強盗といった事件の数も減っている。
殺人事件やその犠牲者の数の減少傾向は、2000年以降続いている。殺人課(DHPP)などの捜査機関の装備が充実したことや巡邏活動の強化、犯罪組織の州都第一コマンド(PCC)が他の組織を駆逐し、中小の犯罪組織間の抗争がなくなったことなどが殺人事件減少の要因だ。
サンパウロ州市警のルイ・フェラス・フォンテス本部長は、「警察の努力により、犯罪者に『捕まらずに逃げおおせることなどできない』との圧迫感が増したことが犯罪減少に繋がっている」と語り、警察が積極的にパトロールすることで、市民の間にも安心感が広がっているとした。
サンパウロ州軍警本部長のマルセロ・ヴィエイラ・サーレス大佐も、市警と協力して、多くの警察官が街に出ていることが犯罪を抑制していると語った。同大佐は、今年から始まったサンパウロ・マイス・セグーロ(「より安全なサンパウロ州」の意)計画で、大勢の警察官による摘発作戦を集中的に行っていることにも触れた。
2月は4回の大型摘発作戦が実行され、動員された警察官は、延べ人数で7万7414人に達したという。
ブラジル公共安全フォーラムのサミラ・ブエノ氏は、「殺人事件の犠牲者数が減るのは当然祝うべきことだけど、その原因を知るにはより詳細な調査が必要。また、今年発足したばかりのドリア知事の施策がうまく行ったからと言うのは無理があり、前の知事までとった施策の効果が今出ていると考えるほうが自然だ」と語った。(28日付フォーリャ紙、27日付アジェンシア・ブラジルより)