ホンダサウスアメリカ・リミターダ(以下「南米ホンダ」)は27日、サンパウロ州イチラピナ市で工場稼動式を行ったと、28日付エスタード紙が報じた。
南米ホンダは13年に新工場の建設を開始。16年に完成したが、その時はブラジルの景気が落ち込んでいたため、すぐに稼動を開始せず、景気回復を待つ判断をした。
ブラジルの年間自動車販売台数が380万台の新記録を出した14年に、南米ホンダは10億レアル規模の投資計画を発表。1997年に建設されたサンパウロ州スマレ市の工場は当時、休日返上で追加勤務体制を敷き、年間12万台のハイペースで生産を行った。
イチラピナ工場を建設し、16年から生産能力を倍増させるという計画は、2千人分の新規雇用を創出するはずだった。しかし、14年半ばから16年末まで続いた長期の景気後退により、国内の自動車販売台数がピーク時の半分程度に落ち込み、計画休止を余儀なくされた。17年以降、景気は徐々に回復したが、今年の販売台数予測は290万台で、14年の76%程度だ。
南米ホンダのイサオ・ミゾグチ社長は、「生産台数を上げるほど、景気は改善していない。しかし、設備も新しい工場で製造したほうが、コストは抑えられる」と語り、トータルでの生産台数は増やさない方針だ。
南米ホンダは今後、スマレからイチラピナに自動車生産を移していき、スマレ工場にはモーターや各種部品製造を集中させる予定だ。また、調査や管理業務もスマレに集める。車の生産は2021年までにイチラピナ工場に一本化される。その時点の生産能力は年間12万台となる見込みだ。