28日、ベネズエラ国庫庁が、グアイド国民議会議長(暫定大統領)に対して15年間の公職禁止処分を発表した。グアイド氏は従わない意向だが、23日にロシア軍がベネズエラ入りし、マドゥーロ大統領側につくなど、事態は不穏な動きを見せている。28、29日付ブラジル国内紙、サイトが報じている。
グアイド氏への処分は、同国国庫庁のエウヴィス・アモローゾ氏が国営テレビを通じて発表した。
同氏によると、グアイド氏は国民議会(以下、国会)議員に就任した16年以降、国外渡航や高級ホテルでの宿泊を繰り返していると指摘。「これらの行動が、国会議員給でまかなえるはずがない」とした上で、「これはグアイド氏が個人資産の不正申告を行い、国外から違法な金や物資を得ているということだ」と非難した。
アモローゾ氏は、「グアイド氏は国会の許可もなく、91回も国外に渡航したが、5億7千万ボリバル(28日付G1サイトより、29日付フォーリャ紙では3億1千万ボリバル)という経費は、議員給では説明できない金額だ」と説明したという。
この宣言に対し、グアイド氏は、アモローゾ氏は制憲議会が指名した人物で、その決定は無効との見解を示した。同氏は同日、「彼は国庫庁の役人ではない。合法的な議会だけが国庫庁の長官を指名できる」とし、国会の正当性、マドゥーロ政権の不当性を改めてアピールした。
だが、現在、ベネズエラには不穏な空気が流れている。それは23日からロシア軍がベネズエラの首都カラカスに、100人の兵士と35トン分の物資を持って駐留しているためだ。
このように、マドゥーロ大統領側にロシア、さらに仮にこのあとに中国軍が味方に加わって駐留でもしようものなら、米国のトランプ大統領がもくろんでいる武力介入はできなくなる。
また、ロシア軍を後ろ盾にすることで、グアイド氏に対する攻撃も行いやすくなったという見方もできる。
トランプ大統領は27日、ホワイトハウスにグアイド氏夫人のファビアナ・ロザレス氏を迎え、その席で、ロシアに対し改めて、ベネズエラからの退去を求めた。
また、ブラジルでも、エルネスト・アラウージョ外相が28日、ロシア軍の撤退を求めた。
「ロシア軍の駐留目的が、マドゥーロ政権の維持ならば、より多くのベネズエラ国民が飢餓に悩み、国外脱出を繰り返すことになる。悲劇は続くばかりだ」とアラウージョ外相は警鐘を鳴らしている。