中銀が毎週行う経済動向調査「フォーカス」によると、今年の国内総生産(GDP)の成長予想は2%を割ったと1日付現地紙サイトが報じた。
GDPの成長予想は5週連続で下方修正され、先週の2%をさらに下回る1・98%となった。今年のGDPの成長予想が2%を切ったのは初めてだ。来年の予想は2・78%が2・75%に下方修正されたが、21年と22年の予想は2・5%で保たれた。
年末の予想インフレ率は年3・89%で、政府目標の4・25%±1・5%ポイントの範囲内だ。来年の予想は政府目標の4%となっている。
年末時点の経済基本金利は6・5%、為替は1ドル=3・70レアルで前回予測のままだが、貿易収支は、黒字予想額が505億ドルから502億5千万ドルに下方修正された。外国直接投資の予想額は、810億ドルが818億9千万ドルに上方修正された。
GDPの成長予想は、3月31日付フォーリャ紙の「企業家達が景気回復は20年になってからと見始めた」との記事と呼応する。第1四半期が終わった時点で、「今年は目に見える形での景気回復はない」と考え始めた企業家が多いのだ。
この考え方は、ボルソナロ大統領とロドリゴ・マイア下院議長が口論を繰り返し、政権初期なのに現政権が政局調整を放棄したとの見方や、政治的に不安定との感触が広がったのが原因だ。
景気回復は来年以降との見方は工業界中心に広がっており、「ブレーキこそ踏んでいないが、アクセルから足が離れた状態」との表現も出ている。社会保障制度改革が承認されても経済を加速させるには不十分で、新規投資を呼び込むには具体的な経済刺激策の提唱が不可欠だともいう。
特に懸念されるのは工業界で、現在の設備稼働率は平均74%に落ち込んでいる。昨年の化学工業界の設備稼働率は77%だったから、止まっている生産ラインが増えた事になる。
電気電化製品製造者協会のジョゼ・ド・ナシメント氏は、「年の半ばまでに社会保障制度改革が承認され、肯定的な見方が回復すれば、ブラックフライデーや歳末商戦向けの増産が9月頃から始まるだろうが、景気回復そのものは来年以降」との見解を示した。
生産活動の停滞や、既存または新規の投資計画が動かない現状は、2月までの3カ月間の平均失業率の上昇や、工業界の在庫が2カ月連続で増えた事でも明らかだ。