サンパウロ州議会で、「スポーツへの参加資格は性別に制限される」として、性転換選手の転換後の性での参加を認めないとする法案が浮上していることがわかった。
これはブラジル共和党(PRB)のアウタイール・モラエス州議が起草した第346号法案で、サンパウロ州の官報に2日に掲載された。
同法案では、「サンパウロ州で行われる公式な試合に参加するスポーツ選手の性別は、出生時の性によって区別される」と定めている。また、この法案に従わず、性転換選手を出場させたチームには、50最低賃金の罰金を科すことになっている。同法案の審議はこれからで、承認されれば180日後に発効となる。
これに該当する選手には、女子バレーのクラブ、バウルーに所属する性転換選手ティファニー(33)がいる。彼女は現在、女子バレーの国内リーグ「スーペルリーガ」に所属しており、同チームの準決勝進出に貢献している。
ティファニーは31歳まで男子バレーの選手として活躍し、ヨーロッパやアジアなどでプレーした後、国際バレー連盟の許可を得て、性転換を行い、女子選手として活動しはじめた。その際にはブラジル国内でも大きな話題を呼んでいた。
だが、ティファニーのように、男子バレーでも実績を残してきた選手が女子チームでプレーすれば、体力差はどうしてもあり、疑問視する声はかねてから大きかった。
その一例が3月27日に浮上した。それは、オリンピックで男女に金メダルをもたらした名将で、現在は国内の女子クラブ「SESC RH」で指揮を執っているベルナルジーニョが、3月27日のスーペルリーガの試合でバウルーに負けた際、「あんな男を入れるなんて!」と批判したのだ。この発言は「LGBT差別だ」として物議を醸し、ネット上で大きな話題となった。ベルナルジーニョは翌日、謝罪している。
だが、このような不満は、多くのバレー関係者からあがっている。ティファニーに対する直接的な異議申し立ては行われてはいないものの、大半のチームが不満を感じていることは、ブラジル・バレー協会も知るところとなっている。
昨年1月には、元女子バレー選手のアナ・パウラ・ヘンケルが国際オリンピック委員会に対し、「医師の間でも、すでに性転換した女性選手と女性選手では、体力に差があることを医学的に証明している」として報告書の提出を行っている。(2日付エスタード紙