老人福祉施設「憩の園」を経営する社会福祉法人「救済会」(佐藤直会長)の「第67回定期総会」が、3月23日午前10時からサンパウロ市文協ビルのエスペランサ婦人会で開かれ、入居者家族や会員ら約60人が参加した。昨年の総会では約43万レアルの大赤字を計上したことから危機感が強まっていたが、今年の赤字は大幅減少したことから少し落ち着いた雰囲気で進行した。
昨年3月の総会で承認された2017年の収支は、総収入478万1827レアル、総支出520万0792レアルで、42万7966レアルもの大赤字が出ていた。その時、本田泉(イズム)専務理事は「18年はもっと赤字が増える可能性がある」とすら語った。そのため、危機感を募らせた顧問の多くから熱気のこもった提言が出され、理事会と顧問会からなる「経営再建特別委員会」設立が合意された。
この特別委員会は組織されなかった。にも関わらず、今回の総会では総収入529万9869レアル、総支出538万2403レアルと赤字が8万2535レアルに大幅減少した。
支出は若干切り詰められたが、改善したのは増収が大きかったため。特にノッタ・フィスカル・パウリスタ(NFP)などの税制恩典を利用した寄付が17年の35万レから59万6千レに倍増したのが大きかった。
総収入の6割を占める一般からの寄付が289万レから305万へと増えたのも好転の要因だ。
佐藤会長は「邦字紙報道などにより、日本側、ブラジル側で協力者が増えた」とし、本田専務理事に確認すると、「14万レアルをポンと救済会の口座に振り込んでくれた人がいた。名前しか分からないので、寄付者にお礼をしたいので連絡先を教えてほしいと銀行を通してお願いすると、『匿名のままでいい』との返事。今もこのような匿名の篤志家がいる。そのおかげで助けられた」と胸をなで下ろした。ただし、このような大口寄付は毎年頼れるものではない。
本田専務は、「入居者家族に対して毎月の入居料に加え、昨年初めて13カ月分も請求し、9割が支払ってくれた。昨年来、入居者家族の協力がとても積極的になり、収支が好転した大きな要因になっている。モジやソロカバのイベントに救済会の出店を出すようになり、その収益や会場でもらった寄付物品も大きい」と感謝した。
来賓の原永門サンタクルス病院理事は、「憩の園の名前はコロニアに知れ渡っており、地方でも協力する意思のある人がまだまだいる。その地方との繋がりを大事に」と提言した。
1967年から救済会運営に協力している大浦文雄顧問は「去年はどうなることかと心配したが、理事会には今年の調子で今後もお願いしたい。『明日へ繋ぐ』ことが大事。この調子を維持して欲しい。まだ赤字だから、いざという時に使う基金創設を実現してほしい」とコメントした。
危機を聞きつけた篤志家の寄付などもあって一時的に潤った救済会の財政だが、まだ赤字は続いており、首の皮一枚で生き延びた状態。財政を安定させるための体質改善は、これからが本番といえそうだ。
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ノッタ・フィルカル・パウリスタの紙を救済会の事務所に持っていったり、サンパウロ州財務局サイトで自分のCPFの寄付先を救済会の登録すれば、抽選で当たった賞金が憩の園に寄付される。そのNFPによる寄付がどんどん大きくなっている。本田専務は、「ぜひサンパウロ州財務局のサイトで、皆さんのCPFの寄付先に救済会を登録してください。そうすれば、すべての皆さんのNFPは自動的に救済会に回されます。やり方は救済会サイト(http://ikoinosono.org.br/wordpress/nf-paulista/cupom-com-cpf/)に詳しく出ていますので、ご協力を」と呼びかけている。