ボルソナロ大統領のグル(師匠)と呼ばれるオラーヴォ・デ・カルヴァーリョ氏の連邦政府内での影響力が大きくなり、それをめぐる軍人閣僚との対立が強まっているという。3日付現地紙が報じている。
オラーヴォ氏の極右思想はボルソナロ大統領やアラウージョ外相に強く表れており、それが彼らの「軍事政権はブラジルを共産主義から救った」「ナチスは左翼が発祥」という、最近物議をかもした発言にも影響していると見る向きも少なくない。
ジョアン・ドリア・サンパウロ州知事(社会民主党・PSDB)はフォーリャ紙の取材で、オラーヴォ氏がアミウトン・モウロン副大統領を批判したことについて訊かれ、「ブラジルに在住してさえいない(同氏は米国在住)人の意見など、私には何の価値もない」とし、副大統領を擁護した。
オラーヴォ氏の影響を巡っては既に、弟子のリカルド・ヴェレス・ロドリゲス教育相との確執による、教育省内のオラーヴォ派解雇騒ぎなどが報じられていた。エスタード紙によると、今回は、オラーヴォ氏と弟子たちが連邦政府内の大きな役職ふたつで対立を見せているという。
ひとつは外務省の投資輸出振興局(APEX)局長で、もうひとつは大統領府の社会通信局(SECOM)局長だ。
APEXの局長は、連邦政府内の軍人閣僚から強い支持を得ているマリオ・ヴィラルヴァ氏がつとめているが、同氏は、オラーヴォ派の代表閣僚のエルネスト・アラウージョ外首相と犬猿の仲にある。APEXの内部では、アラウージョ外相が抜擢した別の理事2人の意向が無視され、ヴィラルヴァ氏の意向のみで事業の決定が行われているといい、同外相との間の緊張感が高まっているという。
また、SECOMは現在、フロリアーノ・アモリン氏が局長をつとめているが、オラーヴォ氏やボルソナロ氏次男のカルロス氏が同局長への不満を露にし、ファビオ・ワインガルテン氏と交代させるよう要求している。ワインガルテン氏は、ボルソナロ大統領と共にイスラエル訪問を行った企業家だ。
軍人閣僚のひとりのカルロス・アルベルト・ドス・サントス・クルス大統領府総務室長官はこうした動きに不快感を示し、改めてアモリン氏の局長残留もしくは他局への異動を訴えている。クルス総務室長官はかねてからオラーヴォ氏を批判しており、2日に行われたグローボニュース紙のインタビューでも、彼は「ヒステリー持ちの男」と皮肉っている。
オラーヴォ氏はかねてから、クルス氏やモウロン副大統領など、ボルソナロ大統領の行き過ぎととらえられる言動を修正してきた軍人閣僚をたびたび批判してきた。3月31日から2日にかけては19回、ツイッターでクルス氏に関する批判投稿を行っている。