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《ブラジル》危険なダムの監査進まず=運用停止計画も立てられず

 【既報関連】300人を超す死者(身元確認済み217人、行方不明者84人)を出したミナス州ブルマジーニョの鉱滓ダム決壊事故から、2カ月以上が経過した。ミナス州だけでも、決壊の可能性が指摘され、決壊した際は大きな被害が出ると予測される鉱滓ダムが多数ある。ブルマジーニョダムの管理責任会社であるVale社は、既に少なくとも6社に、州内八つのダムの監査を断られたと、3日付現地紙が報じた。

 Valeはミナス州内に所有する危険なダムの運用停止を行おうとしているが、監査担当会社が決まらないため、国家鉱業庁(ANM)や州の環境局へのダム運用停止計画書の提出が困難になっている。

 運用停止計画書には、ダム内部の鉱滓や泥水をどう処理するか、また、ダム利用を停止した後にどのように土地を活用するかが記入される。

 Vale側は「3月22日に、危険なダムの運用停止を行うことを求めた」としているが、そのために必要な計画書を出したかどうかは明らかにしていない。

 オウロ・プレット連邦大学のカリーナ・バルボーザ教授は、「ミナス州内の状況は狂気じみている。ダムの状況について毎日異なった情報が出てくる。それなのに、肝心な危険なダムの運用停止計画については知らされていない」と語った。

 1月25日に起きたブルマジーニョでの事故の後、決壊の危険度が3に引き上げられたダムの周辺5市では、事故が発生したら逃げるための時間がないとして、即刻退去させられた人、計943人が、今も自宅に戻れずにいる。