日系若手政治家のキム・カタギリ連邦下議(DEM)は、日本国外務省が実施する「中南米対日理解促進交流事業・ジュントス」を通じて、3月8~19日にかけて初訪日した。政府機関や企業、在日ブラジル人社会を視察するなど見識を広めた。ジョルナル・ニッパク紙によれば、麻生太郎副総理兼財務大臣と面会した同下議は、「四世ビザについて非常に前向きな返答を得た。外務省を通じ、政府内でかなり前進しており、今後数カ月の内に新たな発表がある可能性が高いとのことだった」という。
日語能力、年齢制限、家族帯同不可といったビザ取得を阻む厳しい要件の緩和が期待できそうだ。その他、ブラジル政府からの要望として生肉・果実の対日輸出や、高齢化したデカセギ労働者の法的権利に関する啓蒙活動などが議題に上がった。
なかでも今訪日で感銘を受けたというのが日本の教育制度。今後、学校の生徒に教室清掃を義務付ける法案提出を検討してゆくという。「生徒は学校の一員であり、校舎が公共財であることを理解させることは重要。幼少期から公のものを大切にする精神を涵養し、勉強と同時に勤労の文化を学ぶことにもなる」と意義を説いた。
教育内容についても、「日本では語学と数学が重視されている。当地では重点がなく、多岐の科目に分散している。そのため、多くの科目を少しづつ勉強させようとしているが、結局何も学べていない」と指摘した。
また、教育制度にとどまらず、日本のインフラ整備や治安の良さを手放しで賞賛。「生じ得る最大限の事件や問合せに対し、最小限の警察で以って対応できるよう最適化されている」と警察組織を称え、「ブラジルも見習うべき」と話した。
最後に「先祖の地を知ることが出来たのは名誉。感動的でありその意義は大きい。組織、人間開発、社会開発のいずれにおいても、これまで訪れた米国、欧州諸国とは比較にならないと見た。日本の歴史、文化への理解をさらに深めたい」と総括した。
なお、本交流事業には、同下議を含めて連邦議員や有識者ら10人が参加。「ネギ王」で有名な斉藤ワルテル俊男さんが埼玉県で経営するブラジル人学校「TS学園」も視察した。