7日午後、リオデジャネイロ市西部グアダルーペ区で起きた、陸軍兵士による音楽家のエヴァルド・ローザ・ドス・サントス氏殺害事件で、ドス・サントス氏の一家の弁護士が、逮捕された兵士達の裁判は一般の司法機関で扱うよう要請する意向である事を明らかにした。
ドス・サントス氏は7日午後、妻と義父、息子、友人の5人で赤ちゃんが生まれる前のお祝いのパーティーに出かけたが、その途中、兵士らが乗る車両とすれ違った。
事件が起きたのはその直後で、兵士達は誰何はもちろん、停止命令も出さずに、いきなり車の後方から、80発以上の銃弾を浴びせた。
ドス・サントス氏は背中に3発を浴びて即死。助手席にいた義父も、銃弾を浴びて病院に運ばれた他、負傷者や銃撃を逃れようとして車外に出た妻や息子、友人らを助けようとした通行人の1人が重傷を負った。
陸軍東部司令部は7日に、強盗犯から銃撃を受けたから正当防衛で反撃したとの兵士側の釈明内容を発表したが、苦情が寄せられたため、8日に目撃証言などを確認後、この事件に関与した兵士は12人おり、内10人を現行犯として逮捕したと発表した。
同件は軍の検察と裁判所が扱う事になり、10日には逮捕された兵士達への尋問も行われた。
他方、フェルナンド・アゼヴェド国防相は10日、下院での公聴会で、「悲しい出来事だ。我々は厳密な捜査を行い、身内を切る所存だ。この件は、最後の最後まで徹底的に捜査し、迅速かつ、正当な形で裁判を行う」と語った。
だが、国民の間では、この件の捜査は軍検察ではなく、市警が行うべきとの声が高い。
ドス・サントス氏一家の弁護士ジョアン・タンクレード氏は、ドス・サントス氏の遺体が埋葬された10日、同件の裁判を、軍裁判所ではなく、陪審裁判で扱うよう要請する意向を表明した。
タンクレード氏によると、同件では犠牲者を犯罪者に摩り替えようとする動きがあった上、兵士を軍裁判所が裁くのは、身内を裁く事に他ならない。同件では軍の規定に反する形で銃撃が始まった事など、多くの疑問もあり、全貌をより明確にする意味でも、陪審裁判にすべきだという。
また、タンクレード氏は、ドス・サントス氏の遺族は経済的に家族を支えてきた人物を失い、何の保護もない状態に置かれているとし、11日に賠償責任を問う裁判も起こす意向だ。この裁判は国を相手取って行われ、ドス・サントス氏の義父らの治療費や精神面のケアのための費用なども、損害賠償の一部として請求される見込みだ。
ドス・サントス氏の妻は大きなショックを受け、葬儀でも介添えを必要とした。また、同乗していた7歳の息子は、父親が一緒でなければ家には帰らないと言っているという。
(10日付アジェンシア・ブラジル、G1サイト、オ・グローボ・サイトなどより)