社会保障制度改革を本命として推進しているボルソナロ政権は、国家財政再建のためのもう一つの重要な政策として、税制改革に取り組んでいる。11日付現地紙が、国税庁のマルコス・シントラ特別局長に行った税制改革関連インタビューを掲載した。
シントラ氏は、「2020年までに、今の複雑な税制度をより効率的、合理的なものにしたい」と語った。
政府は、五つの連邦税を一元化することと、これまで、従業員に支払っている給与に応じて企業に課せられてきた社会保障納付金の撤廃を狙っている。
社会保障納付金撤廃後の財源には、小切手、クレジットカード、現金など、全ての方法での支払いに課税する新税(税率0・8~1・2%)などが検討されている。
一元化が予想される現行制度の税は、社会統合基金(PIS)、社会保険融資納付金(Cofins)、工業製品税(IPI)、金融取引税(IOF)の一部と、利益に対する社会納付金(CSLL)の五つだ。
従業員の給与額を基にして計算する社会保障納付金の撤廃は、ジウマ政権も景気刺激策として、特定の産業分野に期限付で認めていた(企業側は給与の代わりに収益を基に計算して納入)が、現政権は全部門で恒常的に行おうとしている。
政府はその後、一元化した連邦税と、州税の商品流通サービス税(ICMS)、市税のサービス税(ISS)をまとめて一つにする事も狙っている。新税の名前は商品・サービス税(IBS・仮称)となる見込みだ。
連邦税、州税、市税の一元化には憲法改正が必要だ。憲法改正案は、シンクタンクの財政市民センターのベルナルド・アピ所長の提案を基にして作成される予定で、ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)も賛成しているという。
下院は今後、IBS導入のための作業班を設置する予定だが、州税、市税も関わってくるため、意見のすり合わせや議会承認は一筋縄ではいかない。シントラ氏は、「だからこそ、『連邦税一元化』と『一元化された連邦税に州税、市税を組み合わせる』の二段階に分けて税制改革を行いたい」としている。シントラ氏とアピ氏、事務方の最初の会合は11日に行われた。
国税庁の動きとは別に、マイア議長は先週、バレイア・ロッシ下議(民主運動・MDB)と会って憲法改正案について話し合った。だが、シントラ氏はそれを問題視せず、「ブラジルは歴史的に、物事を改革する際は立法サイドが常に先行してプロジェクトを出してきた」と語った。
サンパウロ州選出の連邦下議やサンパウロ市議の経験もあるシントラ氏は、立法と行政が手を取り合って進めていく事が重要だと認識している。今は行政サイドの人間として、急を要する課題である税制改革を果たすため、より実利的に立ち回っていく所存だ。