石油公社ペトロブラス(PB)が11日にディーゼル油の値上げを発表したが、その夜の内にボルソナロ大統領が“待った”をかけた事で、翌12日の株価は大きく下がった。米国訪問中だったパウロ・ゲデス経済省はそれを受け、「大統領が少々、経済合理性に欠ける行動をとったとしても、問題は解決できる」と発言したと、14日付現地紙が報じた。
12日のPB株は8・5%下がり、時価総額にして320億レアル分が失われた。
だが、12日も、経済相の口からは「大統領からは値上げ差し止めについて聞かされていなかった」と推測できる言葉しか返ってこなかった。つまり、ボルソナロ大統領は、ゲデス経済相に助言を求めるどころか、事前に相談さえしなかったと推測される。ゲデス経済相はまた、「大統領は『自分は経済の専門家じゃない』と言ったそうだが、という事は別の何かが大統領の頭にあったのだろう。政治的判断、つまりトラックスト再発の恐れだ」と語った。
「では、トラック業界に対し、政府はあまりにあっさりと土俵を割ったのでは?」と聞かれると、ゲデス経済相は、「君らの心配もわからなくもないが、大統領と少し話せば問題は解決する」と答えた。
ゲデス経済相は米国ワシントンでの国際通貨基金(IMF)春の総会に参加し、投資家や経済学者、各国高官らと面会を重ねてブラジル経済のポテンシャルや将来性をアピールしていたが、本国にいた大統領が「新自由主義経済」の看板に完全に反する行為をやってしまった事で、とんだとばっちりを食った形となった。