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最高裁が民主主義の原則を侵害?

 15、16の両日、民主主義の大原則「言論と表現の自由」を揺るがしかねない報道が飛び交った。17日付弊紙2面でも報じた、特定のニュースサイトと雑誌が掲載した最高裁長官絡みの記事を、最高裁判事が外させた件だ▼大手建設会社元社長マルセロ・オデブレヒト氏が、「自分のメールにある『父の友達の友達』は、当時の総弁護庁長官で現最高裁長官のジアス・トフォリ氏だ」と連警に説明した事は、件のサイトや雑誌以外のメディアも次々に報じた。しかし、アレッシャンドレ・デ・モラエス判事はこの記事は虚報(フェイクニュース)と判断し、先のサイトと雑誌に記事の削除を命じた▼国内外の諸機関は一斉に、「言論統制」「検閲」だと批判。現、元最高裁判事達も違憲性を問題にしている。昨年の大統領選直前に大学に警察が介入したり、州議に当選した女性がイデオロギー教育を行う教師の授業を録画して送るよう呼びかけたりした後、言論や表現の自由を認める判決を下した最高裁だから、なおさら違和感が残る▼問題の記事は、ラヴァ・ジャット作戦の報奨付供述者で、嘘をつけば恩恵を失う立場の人物が弁護士の署名入りで提出した文書に基づいている。同作戦担当のエジソン・ファキン最高裁判事は当然、虚報と判断した根拠を5日以内に示すよう求めた。他方、最高裁が捜査した内容を同裁が裁くのは捜査と裁判は別の機関が行うとの原則に反すとして捜査打ち切りを決めた検察庁長官の判断は、モラエス判事が覆した。最高裁による民主主義の原則の侵害か、一部判事による侵害か。民主主義の砦のはずの最高裁の違憲性判断や同裁判事の罷免問題にも繋がりかねない。(み)