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ブラジルのサイトが好む日本製チョコレートは?

リベルダーデでも販売中の明治アーモンド

リベルダーデでも販売中の明治アーモンド

 日本でチョコレートが最も消費される日と言えば、日本人なら誰もが「それは2月14日のバレンタインデーだ」と答える。だが、それは日本独自のもの。ブラジルを含む欧米社会では「チョコレートを食べる」といえば「パスコア」、英語風に言うなら「イースター(復活祭)」の日だ▼そのパスコアが今度の日曜、21日に迫っている。この季節になると、ブラジルのどこのスーパーやショッピング・モールに行っても、チョコの売り上げのメインとなる、大きな卵型のチョコを店先の頭上からぶら下げるのを目にするのが風物詩となっている。お菓子が大好きな子どもたちにとっては嬉しい1日でもある▼そこで売れるチョコと言うのは、ブラジルの場合、ラクタやガロット、ネスレといったスーパーでなじみの大手企業のものからコペンハーゲン、カカオショウといった高級路線の国内製品、あるいはリンツなど、チョコの本場スイスからの輸入製品といったところ。そこに、日本製のチョコの入る余地などない・・と思われていた▼だが先日、コラム子は興味深いサイトの記事を発見した。それは「コイザ・ド・ブラジル」という、ブラジル在住の日系ブラジル人が営むポータル・サイトで、「日本のチョコレート・ベストテン」という企画をやっていた。10個の商品に対してはポルトガル語での丁寧な解説も書いてあり、違和感はありつつも嬉しい気分にもなった▼彼らの選ぶ「日本のチョコレート・ベストテン」は以下のとおりだ。〈1位〉明治アーモンド(明治)〈2位〉ミルク・チョコレート(明治)〈3位〉アポロ(明治)〈4位〉きのこの山(明治)〈5位〉チロルチョコ(チロルチョコ)〈6位〉ポッキー(グリコ)〈7位〉チョコボール(森永)〈8位〉ダース(森永)〈9位〉パイの実(ロッテ)〈10位〉メルティ・キッス(明治)▼1位から4位を明治製菓が独占し、10位以内の5つを占める独占振りだった。さすがはCMで「チョコレートは明治」と銘打つ同社のブランドの面目を保った、と言ったところだろうか。コラム子自身も断然明治派だ▼これらのチョコは、リベルダーデ地区の日本の食品雑貨を扱う店が輸入する商品に基づいているので多少の偏りはやむをえないかもしれない。かといって、「あれがないのは絶対にありえない」と言った決定的な定番商品も他に思いつかないので、大体妥当といったところか▼総じて言えるのは、日本のチョコの場合、チョコレートの最も代表的と言える「板チョコ」が弱いことだ。このランキングにも2位の明治の老舗板チョコが入っているのみだ。日本の場合、欧米の板チョコのような強い噛みごたえのあるものが少ない上、欧米のそれと比べた場合も、ミルク成分が薄く甘みが足りない。実際、コラム子も、日本に行ったことのあるブラジル人の知人から「日本のスイーツは味がしない」ということを幾度も耳にした▼ただ、このランキングでも伺えるように、形をちょっとひねって変えたものや、クラッカーなどと掛け合わせて作った商品はなかなか評判が良い。これはコラム子が日本に住んでいた際に感じた実感にも近い。あと、他の国であまり定番でない、「アポロ」のようなストロベリー・チョコも日本のものはかなりうまい。あまり輸出や海外進出には積極的とは言えない日本の菓子業界だが、今回のこのようなデータを参考にすれば、世界的な商品の開発も夢ではないかもしれない。(陽)