ホーム | ブラジル国内ニュース | ベロオリゾンテ=右翼バーが堂々開店=「ゲバラTシャツの人もぜひ来て」とオーナー

ベロオリゾンテ=右翼バーが堂々開店=「ゲバラTシャツの人もぜひ来て」とオーナー

保守派の政治からの写真が並ぶデストロの店内(Divulgação)

保守派の政治からの写真が並ぶデストロの店内(Divulgação)

 ブラジル南東部ミナス・ジェライス州の州都ベロ・オリゾンテ市に世界の右派、保守派をテーマにしたバー、デストロ(イタリア語で「右」、「右翼」の意味)がオープンした。
 店内には、元米大統領のロナルド・レーガン氏や元英国首相のウィンストン・チャーチル氏、マーガレット・サッチャー氏の肖像写真や、ブラジルの右派思想家や政治家の写真なども飾られている。
 ブラジルでは13年間に及ぶ左派労働者党(PT)政権が2016年半ばに終了、2019年からは“極右”と呼ばれても否定しようのないくらい極端な思想のボルソナロ氏が大統領に就任した。
 ブラジル国内にも長かった左派政権支配への反動からか、時にはそれが行き過ぎた極右思想、排外思想にも及ぶ「保守思想」の影響を受けた人々の集まる場ができている。デストロは紛れも無く、「右翼バー」で、その政治姿勢を隠そうともしていない。
 食事のメニューには、「トリプレックス」(左派PTのカリスマ、ルーラ元大統領への贈賄工作に高級三層住宅が使われたことを当てこすり、肉の煮込み料理、チーズ、マンジョオッカの「三層」状の料理)や、「ルーラは獄中」(愛称ルーラの、本来の言葉の意味が「イカ」であることにかけたイカリング)などが並び、ドリンク・メニューには、「キューバにでも行け!」(左派を揶揄して、「そんなに左翼が良いなら社会主義国のキューバにでも行きやがれ! ブラジルから出て行け!」 という言葉が右派の間で選挙中に流行ったことにかけている)や、「トランプタワー」という名のカクテルもある。
 同店では火曜日限定で、「税金は(国家の)泥棒行為」というプロモーションも行われる。
 これは右派の新自由主義経済政策が「小さな政府」を標榜し、税を少なくする代わり、国民の面倒も少なくというポリシーで動いていることと対照的に、左派は「大きな政府」で「重い税金、福祉も手厚く」を(建前上は)標榜していることを揶揄したネーミングだ。
 共同経営者のギリェルメ・ランデル氏(35)は、「仲間内の冗談から始まったのさ。左派が幅を利かせていた頃の、建前だらけ、綺麗ごとだらけにうんざりしていたし」と語っている。
 別の共同経営者、ジョゼ・ネット氏(39)に、「もし左翼思想のお客が来店したら?」「 チェ・ゲバラのTシャツや、“ルーラを釈放せよ”のスローガンのTシャツを着ての入店は? 」と質問すると、「他のお客さんの迷惑にならない限り歓迎だよ。僕らだって、お客さん全員が右派思想、保守思想の持ち主じゃないってことくらい分かってる」と語った。
 デストロの共同経営者たちは、当然ながら、今のボルソナロ大統領の熱心な支持者だが、店内には同大統領の写真は飾られていない。ジョゼ・ネットさんは、「ボルソナロ大統領の写真や似顔絵を飾るのはまだ早い。僕らは彼に良い政治を期待してるんだ。その期待に応えてくれたら考えるね」と結んだ。(12日付フォーリャ紙より)