【既報関連】1月25日に発生したミナス州ブルマジーニョの鉱滓ダム決壊事故から3カ月。Vale社が同州内に有する32基のダムは実質的に操業停止の状態で、鉄鉱石や派生品の生産、国内総生産(GDP)にも影響が出始めている。
21日付アジェンシア・ブラジルによると、32基のダムを伴う採掘活動の停止は、国家鉱業庁(ANM)とミナス州環境・持続可能な開発局(Semad)、Vale社自身が決めた事だ。
操業停止状態のダムは、1月に決壊したダムもあるブルマジーニョのコレゴ・ド・フェイジョン鉱山3基、ノヴァ・リマ市内10基、オウロ・プレット市内9基、イタビリト市内2基、イタビラ市内3基、サバラー市内2基、バラン・デ・コカイス市内とリオ・ピラシカバ市内、マリアナ市内各1基となっている。
特に問題となるのは、危険度3と判断されたオウロ・プレット市内のフォルキーリャⅠとフォルキーリャⅢ、ノヴァ・リマ市内のB3/B4、バラン・デ・コカイス市内のスル・スペリオルの4基だ。4基のダム周辺では住民を安全な地域に退去させた。また、危険度2と判断されたダムは専門業者による再監査が必要だ。この地域でも既に、一部の住民を退去させている。
また、32基のダムの内9基は、1月末に閉鎖する事が決まった。
Vele社の操業停止は、ミナス州の鉱業界のみならず、ブラジルの鉱工業界に多大な影響を及ぼす出来事だ。(ペレット不足については24日付3面に関連記事掲載)
14日付エスタード紙などによると、同社が生産する鉄鉱石は年9280万トンでブラジル全体の生産量の23%に及ぶ。同社鉱山の操業停止による影響は19年のGDPの0・2%ポイントと予測される。この数字は、同時点で2%との予想だったGDP成長率が1割減となる事を意味する。22日発表のGDP成長予想率は1・71%に下がっており、影響は更に大きくなりそうだ。
Vale社職員は22日、上院の議会調査委員会で、同社理事会は1月に決壊したB1ダムの危険性を認知していたと証言。改めて、同社の責任が問われる事になった。ブルマジーニョの事故の犠牲者は23日現在、身元確認済みの死者232人、行方不明者40人となっている。
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