22日晩にサイトに出た「インフルエンザの予防接種キャンペーン第2弾開始」との本紙記事を見た読者が、その日のうちに「ブラジルでは予防接種が無料だが、先進国の日本が代金を取るとは…」とのコメント付でフェイスブックに載せていた。30年前、ブラジルに来る準備で長女に予防接種を受けさせた時も料金を取られた事などを、懐かしく思い出した▼ブラジルは統一医療保健システム(SUS)に参加している公立病院や保健所などを無料で利用出来る(診察、検査に投薬、手術も)し、一定範囲内の薬もただでもらえる。だが、SUSの医療機関では診察や検査の予約がなかなか取れず、救急外来ですら診察までに3~4時間かかる事はザラで、心筋梗塞など、本当に急を要する時に判断を誤れば、手遅れとなる可能性さえある。また、処方箋の有効期限が切れて取り替えてもらうにも診察を受け直さなければならず、検査結果を見てもらいたいが再診予約が取れず、検査の有効期限が切れたといった不満の声も多い▼サンパウロ州のジョアン・ドリア知事は就任後、サンパウロ市の市長時代に打ち出した、利用者が少ない夜中に検査や診察を受けさせ、順番待ちの列をなくすという政策をサンパウロ州にも導入した。だが、SUSの対応は一向に良くなっていないともらす市民の声は減っていない。黄熱病が流行するかと大騒動が起きての予防接種キャンペーンの時もそうだった。季節の変わり目で体調を崩す人が増えたが故の長蛇の列を目の当たりにすると、医療保険などで保護された政治家が考える事はこんなものと斜めに見たくなる。大気汚染が悪化し、呼吸器疾患の患者が増える時期を前に、嘆息する原因が増えてしまった。(み)