24日、市民省が連邦政府官報に、文化支援法(通称ルアネー法)の改定基準を掲載した。改定法ではプロジェクトへの支援上限が100万レアルに引き下げられ、従来の上限だった6千万レアルより98%も減るなど、文化界に新たな波紋を投げかけそうだ。25日付現地紙が報じている。
新たな規定によると、一つのプロジェクトへの支援上限は、これまでの6千万レアルが100万レアルに減額される。また、一つの企業が支援を受けて実行できるプロジェクトは年16に制限され、支援総額の上限も6千万レアルが1千万レアルに引き下げられる。
ただし、この規定には例外が多数存在する。
例えば、サンパウロ美術館(MASP)、サンパウロ州交響楽団(Osesp)といった文化団体の年間プロジェクトや複数年にわたる企画、有形・無形の文化財や博物館、記念館、文化的な資材の維持・導入のための経費、さらに、住民が10万人未満の市での博物館や映画館の年間維持費には上限がない。
また、地域毎規定もあり、北東部や北部、中西部に限定された事業への支援は200万レアル、南部やエスピリトサント州、ミナス・ジェライス州での事業だと150万レアルが上限となる。
また、オペラやフェスティバル、コンサート・ツアーや文学関係のイベント、芸術作品の展示、クリスマスやカーニバル、年越しなどの祝日絡みのイベント、障害を持つ人の社会統合や教育目的の事業などへの支援は、上限が600万レアルとなる。無料の入場券配布数は最低10%に半減するといった影響もある。
多くの文化事業関係者らは、例外が多いため、ボルソナロ氏が大統領に選ばれた時に予想したほどの締め付けは起きていないという。また、小規模のイベントや、富裕層の少ない州の事業はそれほど影響を受けないことになる。2016年の資料によると、ルアネー法の対象となった事業の70%は支出が50万レアル未満だったという。
だが、逆に、サンパウロやリオといった大都会での事業やイベントで影響が出そうだ。新たな上限についてオズマル・テラ市民相は、「劇場や音楽イベントのほとんどは支援などなくても自分でまかなえるものだ」と連邦議会での答弁で答えている。
この法改定で最も影響を受けそうなのがミュージカルだ。例えば、大ヒット作の「オペラ座の怪人」は2860万レアル、「リトル・マーメイド」は960万レアルの支援をルアネー法で受けている。過去のルアネー法による年間支出上位にも、ミュージカル製作が軒並み顔を連ねている。
また、欧米からのアーティスト招聘を行うT4f社などのコンサート・イベンターは、年間支援額やプロジェクト数に上限が設けられるため、企画を精査する必要が生じる。
新政権下ではこれまで文化事業に積極的だったペトロブラスやブラジル銀行などが協賛事業を削減しており、ルアネー法改定が文化事業に与える影響が懸念されている。