ボルソナロ大統領がブラジル銀行総裁に対し、黒人や同性愛の青年俳優を使って青年層に訴えるCMの放送を止めるよう求めたことや、同行総裁がこのCMの製作を指揮したマーケティング部長を解雇したことがわかった。ボルソナロ氏はこれ以外でも、人種多様性などに関し、偏見に満ちた発言を連発している。25、26日付現地紙、サイトが報じている。
問題のCMは今月初旬から放送されていたが、その内容は、ブラジル銀行も、インターネットやスマートフォンを使った送金など、金融サービスと情報技術を結び付けたより近代的なサービスを行っていることをアピールし、青年層を取り込もうとしたもので、黒人や同性愛者の俳優らがアプリをダウンロードする姿を映し出していた。
このCMは14日に放送されなくなったが、その理由が、ボルソナロ大統領が同行のルベン・ノヴァエス総裁に電話をかけて止めさせるよう命令したからであったことが25日付現地紙サイトなどで明らかにされた。
大統領はノヴァエス総裁に、このCMの製作責任者でマーケティング部長のデラーノ・ヴァレンチン氏を解雇することも要請。同氏はCM削除直後に休暇をとっている。
なお、ノヴァエス総裁はボルソナロ氏から電話を受けるまでCMの内容を知らなかったというが、このCMは、ノヴァエス氏が就任後に言い続けている、ネットなどのテクノロジーを駆使して若い利用者を増やしていきたいとの意向に沿って作られたものだった。
ノヴァエス総裁は1月にパウロ・ゲデス経済相の指名を受けて就任したが、かねてから左翼嫌いで知られており、今年1月には自身のフェイスブックでジウマ元大統領、ペトロブラスのグラッサ・フォステル元総裁、アルゼンチンのクリスチーナ元大統領の写真を投稿してからかう行為を行い、「女性蔑視だ」として物議を醸した。
なお、ボルソナロ政権が「政権の方針に合わない」として広告を取り下げるのはこれで早くも4回目だ。その中には保健省が既に半年間利用していた、性転換者の出ていた広告も含まれている。
また、ボルソナロ大統領は25日、ジャーナリストたちとの朝食会で、「ブラジルを同性愛者たちの観光目的地や同性愛者のはびこる国にしてはならない。なぜなら、この国には家族があるからだ」との発言を行っている。また、さらに続けて「自分は09年から保守の姿勢を貫いているが、それによってブラジルへの投資が落ち込んだという話はない」とも語っている。
また、大統領は同日、教育省のイベントで農地改革と土地なし農民の定住化に関して話した際、「水や石鹸の不足(衛生管理不足)で年1千件もの男性器切断手術が行われているのは悲しむべきこと。我々は正に井戸の底にいる」とも語った。