教育省が4月29日に三つの連邦大学への予算を30%削減するという発表をして批判を浴びたため、30日に、それを全ての連邦大学に及ぼすと発表し、物議をかもしている。1日付現地紙が報じている。
4月30日付エスタード紙によると、アブラアン・ウェイントラウブ教育相は4月29日に、ブラジリア連邦大学、バイア連邦大学、フルミネンセ連邦大学の3大学への予算を30%削減すると発表した。
アブラアン教育相はこの際、この3大学は「大学への援助金を無駄遣いして、構内で馬鹿げた行事やフェスタを行っている」とした上、大学ランキングの実績を下げているとも付け加え、あたかも罰則であるかのような言い回しをしたが、1日付フォーリャ紙では、08~13年の3校の生産性の伸びは全国平均を大きく上回るなど、矛盾も指摘されている。
4月30日には、3校への予算削減は、大学側が持つイデオロギーに対する教育省側の偏った見方によるものではないかなど、同相の発言に対する反発の声が相次いだ。これを受けて発表されたのが、全ての大学への予算削減だった。
だが、これに対しても強い反発が続出。バセラル下議(ポデモス)は、各大学への予算削減は許容範囲を超えたとし、アブラアン教育相を下院に召喚して説明を求める意向も示した。アレッサンドロ・モロン下議(ブラジル社会党・PSB)も「最高裁が定める大学の思想の自由に反する」として、訴えることも辞さない構えだ。
また、オットー・アレンカール上議(社会民主党・PSD)も「上院での投票で却下させたい」と、ネット上で発言している。
ボルソナロ大統領は昨年から、「学校内から特定のイデオロギーを排除する」ことを目的とした「政党なき学校」という法案を連邦議会で通過させたがっていたが、これは「右翼支持者側からの左翼排除」の色合いが強いとして強い反対にあっており、議会でも進捗を見ていない。
こうした、「イデオロギー上での理由」で特定大学への予算を排除したと思われるのを避けたくて同省が出したのが、「全ての連邦大学への予算を30%削減する」という声明だった。連邦政府は今年、政府全体で300億レアルの予算を削減する方針で、教育省は58億レアルの予算削減が義務付けられている。同省は既に、上半期分として各連邦大学に予算の20%削減を通達していた。今回の30%削減案は、下半期に適用する方針だ。
だが、「何が理由で、どの部分を削減する」などの説明を具体的に行わずに、全大学に一律に削減を求めたことや、その率を一方的に引き上げたことに関しては、大学側からの反論が避けられないと見られている。