大型補強を敢行したものの、サポーターが望むような成績をあげられていないリオの名門サッカーチーム、フラメンゴに不満の声が高まっている。
その多くはアベル・ブラガ監督の交代を望むものだが、それに対し、フラメンゴがチームとして公式声明を発表した。
それほど酷い成績ではないと主張するため、「リオ州選手権では優勝したし、リベルタドーレス杯でも1次リーグ5節終了時点で首位」などと書かれた文書に、「フロリダカップでも優勝している」と書かれていたことが、ブラジル国内のスポーツマスコミやフラメンゴファン、アンチフラメンゴなどの間で大反響を呼んでいる。
フロリダカップとは、シーズン開幕前の1月にアメリカで行われた親善大会で、ブラジルからはフラメンゴ、サンパウロ、欧州からはアヤックス(オランダ)、フランクフルト(ドイツ)が参加した。
欧州勢はちょうど冬の中断期間で、温暖なフロリダでの調整といった位置づけだったため、勝ち負けにこだわる理由は全くなかった。大会形式も、4チームが2試合ずつ戦うという変則的なリーグ戦で、PK勝ちにも勝ち点を与え、2試合合計の勝ち点を競うという、かなり邪道な形式だった。
初戦でアヤックスに2対2の末にPK勝ち、2戦目フランクフルトに1対0で勝ったフラメンゴは、確かに“優勝”したが、その結果を真面目に喜ぶべきではないことは明らかだ。こんなフロリダカップでの形ばかりの優勝さえも引っ張り出したことへのファン、マスコミの反応は大きかった。
「リオ州選手権のセカンドステージにもリオ杯って名前がついてるぞ。それも一応優勝しただろ。リオ州選手権と合わせて『今年は既に3冠達成』と書いたらどうだ?」や、「フラメンゴの公式声明は私たちがハックしたわけではない。残念ながら、私たちはフロリダカップ優勝をわざわざ誇るほど馬鹿ではない」などと揶揄する記事や書き込みが相次いだ。
開幕したばかりのブラジル全国選手権では強豪と立て続けに対戦し、1勝1敗。リベルタドーレス杯でも最終戦を前にして1位だから、チームが主張するように状態は酷いとは言いがたい。
しかし、ファンの心が落ち着かないのは、リベルタドーレス杯第5節まででグループリーグ突破を確定させらせず、最終節にグループ最強の敵、ペニャロールとの敵地戦が残ってしまい、負けると1次リーグ敗退の可能性があるからだ。
FWガビゴール、MFアラスカエタ、DFロドリゴカイオと、各ポジションに現役代表クラスを獲得し、ジーコ全盛期以来、ほぼ40年ぶりの南米制覇に向けてすっかりその気になっていたサポーターに、「親善大会でも優勝している」と言い訳したのは、思わぬ“オウンゴール”だったか。