4月30日に国民蜂起を呼びかけたが、軍関係者の参加が予想を下回り、ニコラス・マドゥーロ政権の即時打倒には至らなかったベネズエラのフアン・グアイド国民議会議長が、3日付ブラジル国内紙のインタビューに答え、「国外からの軍事介入は否定しない。だが、ベネズエラにとっては最後の手段だ」などと語っていたことが明らかとなった。
このインタビューはグアイド氏の安全を保証するため、首都カラカス市内で行われたこと以外、何も明かされていない。
グアイド氏はインタビューの中で、4月30日に起こした行為は「国民の大半が望んでいる民主政治への体制変更を目指したもの」で、「軍部とも話し合いを重ねてきた」と主張した。だが、「政府を打倒できるほどの軍が集まらなかった」と振り返り、「我々は敗北したわけではない」と主張している。
また、グアイド氏と同じ大衆意思党のリーダーで、自宅軟禁中だったレオポルド・ロペス氏に恩赦を与えたことに関しては、「(国民議会が認定した)暫定大統領という立場で恩赦を出すのは難しいことではなかった」とし、新しい体制形成のために共に戦っているという立場を示した。
他方、4月30日の蜂起呼びかけ後はマドゥーロ政権の圧制が激化し、1日以降、国家警備隊の発砲などを受けた反体制派の国民4人(今年の累計では57人)が死亡していることについて、グアイド氏は、「それが政府のできる唯一のことだ」と批判。「でも、政府は弱体化している。多数派は私たちだ」と主張した。
グアイド氏はまた、「6~9カ月後に民主主義再建のための選挙を行いたい」とし、マドゥーロ氏の統一社会党にも参加してもらうと語った。
国外からの軍事介入の可能性に関しては、「捨ててはいない。マドゥーロ政権ではそれが起きてもやむなしだが、それはあくまで最後の手段だ」との見解を述べている。
また、グアイド氏はこの取材で、ボルソナロ大統領とも「4月30日に話をしたが、とても心配していた」と語った。ボルソナロ氏自身もブラジル国内紙の取材に対し、「外交が許すギリギリまで、ベネズエラの民主主義のために尽くしたい」と語っている。
一方のマドゥーロ大統領は2日、カラカス市内でベネズエラ軍兵士らとの行進を行い、軍が味方についていることを見せつけた。同日には最高裁を通し、スペイン大使館に身を寄せているロペス氏逮捕も命じたが、スペインは引渡しに応じない意向だ。
なお、ロペス氏は4月30日、グアイド氏と共に支持者らの前に立ち、国民に向けたメッセージも録画したが、体制派による身柄拘束を避けるため、チリ大使館に身を寄せた後、スペイン大使館に移動した。2日には、自宅軟禁中に軍関係者と接触していたことや相当数の兵士が蜂起の意思を表明していたことを明かし、「民主主義再建のための行動が後戻りすることはない」との見解も表明した。