世界報道自由デーの3日、ブラジルでは、全国新聞協会(ANJ)や全国雑誌発行者協会(ANER)、ブラジル・ラジオ・テレビ放送協会(ABERT)が共同で、国民には知る権利があり、報道機関には知らせる義務があると訴える広告を出した。
世界報道自由デーは、世界人権宣言第19条が謳っている表現の自由や報道の自由の重要性を喚起すると共に、各国政府が報道の自由を尊重し、支持する義務がある事を認識するため、1993年12月に定められた。
だが、4月18日付アジェンシア・ブラジルによると、ブラジルの報道の自由度は世界180カ国中105位で、昨年より三つ落ちた。現在は黄信号だが、赤信号の「困難」まであと僅かだという。
国境なき記者団(RSF)という非政府団体によると、近年はジャーナリストへの迫害、憎悪が拡大しており、報道関係者を取り巻く環境が「良い」「比較的良い」とされた国の割合が、昨年の26%(17カ国)から24%(15カ国)に減った。逆に、「困難」「非常に深刻」とされた国は39%から40%に増えた。
RSFラテン・アメリカ地区担当のエマヌエル・コロンビエ氏によると、ブラジルの105位は、2002年のランキング発表開始以来、最低だ。評価が落ちたのは、昨年起きた、ジャーナリスト4人の殺害事件が主要因だという。
ラテン・アメリカでブラジル以下の評価を受けた国は、ジャーナリストへの暴行や迫害、投獄が増え、24位落ちて114位になったニカラグア、昨年もジャーナリストが10人殺され、144位だったメキシコ、外国人ジャーナリストの逮捕や追放、政府を批判する報道機関の電波カットなどが続き、5位陥落して148位となったベネズエラのみだ。
4月30日付G1サイトによると、ブラジルでは、1995~2018年にジャーナリスト64人が殺されており、記者にとっては世界で6番目に危険な国だという。州別死者数上位は、リオ(13人)、バイア(7人)、マラニョン(6人)となっている。
年別の死者は2015年の8人が最多。2001~16年の死者の平均は6人だ。16年以降は減少傾向にあったが、18年はまた増えた。