大統領選時のスローガンとは異なり、ボルソナロ政権の教育支出凍結額が、幼児から高校までの基礎教育課程だけで24億レアル、全体では約80億レアルに及んでいることがわかった。4、6日付エスタード紙が報じている。
ブラジルにとって、「教育や保健の支出が不十分」なことは、労働者党(PT)政権下の好景気の時にも指摘され、2013年の全国的なマニフェスタソンの際も充実を求める声が強かった。
以来、「教育支出」は大統領選で候補者が必ずスローガンに掲げるものの一つとなった。ボルソナロ大統領もご他聞に漏れず、基礎教育課程への投資を約束していた。
だが、全国高等教育機関運営者協会(ANDIFES)のデータによると、それとは真逆の結果が出ている。
教育省は現在、全体で79億6746レアルの支出凍結を行っている。その内訳は、基礎教育課程24億2289万レアル、連邦大学関連22億6645万レアル、連邦教育機関10億5200万レアル、大学病院関連1億7595万レアル、学生支援ファンド(Fies)11億1865万レアル、ハイレベル人材養成業務統括所(CAPES)8億1334万レアルとなっている。
パウロ・ゲデス経済相を筆頭とする経済省は全体で300億レアル、教育省は74億レアルを削減する方針を示しているが、教育省の場合、目標額を既に5億レアル以上上回っている。
しかも、基礎教育課程への支出凍結額は予算額の39・68%で、凍結された割合が最も高い。
また、4日付本紙でも報じたように、アブラアン・ワイントラウブ教育相は、当初3大学を対象にしていた予算3割削減を全連邦大学へ適用したばかりだ。ボルソナロ大統領は、「高等教育機関への支出削減分を基礎教育課程に回す」とも発言したが、実態はそうではないことが数字の上で明らかになった。
さらに、連邦教育機関への支出カットには、高校レベルの技術校(ETEC)への進学を勧める全国技術教育・雇用促進プログラム(Pronatec)や、普通科高校とETECで同時に学ぶ生徒支援プログラムのMediotecという、大型教育プロジェクトも含まれる。前者は1億45万レアルの予算全額が凍結され、後者は、1億4800万レアルの予算中、1億4400万レアルが凍結されている。
CAPESの予算凍結では、これまで行ってきた大学院の修士課程や博士課程で学ぶ学生への支援や、「国境なき科学」というプロジェクトで学ぶ学生向けの語学研修費がカットされはじめており、その影響は約10万人の学生たちに及ぶ可能性があるという。
ボルソナロ大統領は2日にSBT局の番組に出演した際にも教育への支出充実を約束し、アブラアン教育相もツイッターで「これからはどこの保育園も定員枠を増やせるようになる」などと発言していた。