スマートフォンで気軽にタクシーを呼び出せ、車1台で自営タクシーを開業できるUberは、世界各国で普及している。
しかし、利用者にはうれしい安価な運賃も、ドライバーには儲けが少なく、5月10日に米国で予定されている株式新規公開(IPO)目前の8日、世界規模でドライバーのストライキ行為が発生。ブラジルでも8日午前0時から9日の午前0時まで、Uberならびに同業他社99Taxiのドライバーたちの一部が、ストに入った。
ドライバーたちは携帯電話のメッセージアプリで連絡を取り合い、ストを組織した。99Taxi側は、「(ストは)ドライバーの表現の自由の範疇」との声明を出している。
ドライバー側は、運賃の値上げや、アプリ運営会社側の売り上げ天引き率を下げること、タクシーを呼んでいる顧客がどこまで行きたがっているのかを乗車を請け負う前に知る権利、燃料費引き下げ、デパートや空港のように需要の多い場所に配車アプリ専用の乗り場を整備することなどを要求している。
Uberは需要と供給のバランスで運賃が上下するが、ブラジルでは比較的短距離だと、10レアル(およそ280円)にも満たない金額で乗れることがある。
また、Uberは「ドライバーと顧客をマッチングしているだけ」との名目で、車の整備費用なども負担しないにも関わらず、運賃の25~40%の手数料をドライバーから徴収している。ドライバーは常にインターネットに接続していなくてはならず、携帯電話サービス会社への料金も自腹だ。
現状では、「近距離移動で、ドライバーへの“実入り”が少なく、乗車引き受けドライバーが現れない」という事態にならないように、ドライバーには「~の地点で乗車希望者がいる。乗車を引き受けますか?」としか伝えられず、両者が対面して初めて、行き先と運賃が運転手に伝わる。この点も、ドライバー側は改善を求めている。
今回のストへの参加は義務ではなく、参加せずに営業を続けることを選ぶこともできたため、参加者は限定的だったが、営業している車が普段より少ないため、8日のUber利用運賃は普段より高めだった。(8日付G1サイトより)