【既報関連】7日にボルソナロ大統領が署名した大統領令は、ジャーナリストやトラック運転手などを含む20の分野の人に銃携行を認めた上、軍や警察だけが持つことを許されていた強力な銃器を持つことも認めている。だが、この大統領令への反発は大きく、立法や司法の判断が必要との声も大きい。9日付現地紙が報じている。
7日に署名、8日に発表された大統領令9785号によると、銃の携行が認められるのは、昨日報じたCAC(猟師、スポーツ射撃の選手、収集家)だけではなく、任期中の議員、弁護士、軍や警察の活動をレポートするジャーナリスト、トラック運転手、田園地帯生活者、警備会社職員など、20の分野の人が銃を携行できるようになる。
また、携行が認められるカテゴリーの人は、従来は兵士や警官などにしか使用が認められていなかった、40口径や9ミリ口径の銃を持つことも可能となる。
さらに、18歳未満の未成年者がスポーツ射撃の訓練に参加する場合、従来は裁判所の許可が必要だったが、今後は、正当な保護者の1人が許可すれば、参加できるようになる。
その上、国内の銃産業はタウルス社の独占状態であるため、銃や銃弾の輸入を歓迎するとの文まである。輸入品が国産品より廉価で売られるのを避けるためのメカニズムは、今後検討される。
セルジオ・モロ法相は8日、犯罪防止法との関連で大統領と話し合った際は銃の携行問題は出てこなかったとし、「大統領が選挙時の公約に基づいて独自に決めたもの」との見解を示した。
だが、昨年12月に行われたダッタフォーリャの世論調査では、61%の国民が銃の所持規制緩和に反対しており、国民が銃を持ちやすくなる状況に反対する人も68%いた。
大統領令の内容が発表されたことを受け、労働者党(PT)や社会主義自由党(PSOL)は上下両院に、大統領令を無効にするための法案を提出。レデ(REDE)はさらに、大統領令の有効性を問うべく、最高裁に訴えを起こしている。
ロドリゴ・マイア下院議長(民主党・DEM)も、「大統領令の中に議会が決めた優位性を超える内容が含まれている場合、大統領令は差し止められる」としている。
ボルソナロ大統領は7日に「現行法が認める限界まで解釈を広げた」大統領令との見解を示していたが、2003年に連邦議会が承認した「非武装法」を骨抜きにする内容との指摘も既に受けている。
治安や開発に関する調査研究を行うイガラペー研究所のメリーナ・リッソ所長は、今回の大統領令は「この両極化と不寛容の時代に極めて危険なもの」「治安関係者をさらに危険な状況に置く」などと批判している。逆に、治安問題専門の退役大佐、マルセル・ラセルダ・ソフネル氏は、「一部の人だけではなく、全ての国民が武装できるようにするべきだ」との反対意見を持っている。