鉄鉱大手のヴァーレ社が9日に発表した今年第1四半期の決算報告によると、同期は64億レアルの純損失を計上したことが分かった。10日付現地各紙が報じている。
昨年第1四半期は51億レの黒字で、昨年第4四半期は145億レアルの黒字だった。ヴァーレ社は、大幅赤字に転落したのは、1月25日に発生したミナス州ブルマジーニョの鉱滓ダム決壊事故の影響が大きいとしている。
1月の事故は、237人の死者と33人の行方不明者を出しただけでなく、周辺地域、川の下流域にまで甚大な環境被害をもたらした。この事故でブラジル 全体に鉱滓ダムへの不信感が広がった上、ヴァーレ社所有の鉱山も一部採掘中止に追い込まれた。
報告書の中でヴァーレ社は、遺族への賠償と被災地域への救済金として93億レアルを計上、71億レアルを既存ダムの操業停止にかかる費用、25億レアルを自治体に払う費用や操業停止で被った損害などにあてている。事故による損害は合計190億レアルで、これがなければ、今年第1四半期決算も純益だった可能性が高い。
ヴァーレ社は「今の時点での正確な賠償金額を全て正確に予測することは不可能」としており、これらの費用が今後増える可能性もある。ヴァーレ社が出した声明文には、「報告書の数値はこれまでに判明したデータから算出したもの」と書いている。
ブルマジーニョでのダム決壊事故により、ヴァーレ社の今年第1四半期の「金利・税金・減価償却前利益」(EBITDA)はマイナス28億レアルとなった。ヴァーレ社の四半期決算でEBITDAが赤字となったのは初めてだ。
また、ヴァーレ社は事故の後に司法当局から資産凍結処分を受けており、資金繰りのために新たな借り入れを行った影響で総負債額が10%増え、170億ドル(約670億レアル相当)になった。
さらに、ヴァーレ社は事故の後、崩壊したダムと類似の方式のダムを使っている鉱山の操業停止命令も受けたため、鉄鉱石で30%、球状にした鉄鉱石(ペレット)で20%、生産が減少した。
ヴァーレ社は今年第1四半期に、309億レアルの収入があった。これは昨年第1四半期比では11%増だが、昨年第4四半期と比べると17%減だ。
3月初旬に社長の座を退いたシュワルツマン氏に代わって社長を務めるエドゥアルド・バルトロメオ氏は、「ブルマジーニョの事故を決して忘れないし、被災者や被災地域の損失回復にも全力を尽くす」との声明を発表した。
ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団(FGV)は4月に、今年のヴァーレ社の減産量は9280万トンとの予想を出した。同財団では、国全体のGDP成長率はこれだけで0・2%ポイント引き下げられると見ている。
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