アブラアン・ウェイントラウビ教育相が、連邦大学の運営予算と研究費の削減を決めたことに反対し、15日に国内各地で抗議行動が行われたと、15日付現地紙・サイトが報じた。
4月末に教育省が、「国内全ての連邦大学、連邦政府系教育機関の予算の中で、義務的支出に含まれない分の一部を停止」と発表したことに対する不満が爆発した格好だ。15日付G1サイトによれば、連邦大学に関する予算削減規模は17億レアルで、連邦大学関連予算総額496億レアルの3・4%にあたる。
また、5月に入ってからは、教育省ハイレベル人材養成業務統括所(Capes)が、修士課程、博士課程への補助金停止も発表しており、国内外の研究者から不満の声も出ている。
抗議行動は15日朝から、全26州と連邦直轄区で展開された。
政府が予算削減を公表したのは、連邦レベルの大学や教育研究機関などに関連したものだが、15日の抗議行動には、州立大や私立大、中等、初等教育機関の関係者も多く参加した。
サンパウロ市では、USPの学生と、教授らが市内西部のキャンパスに繋がる公道を閉鎖した。デモ隊が掲げた横断幕には、大学予算削減反対の他、社会保障制度改革反対の文字も書かれていた。
15日午後2時過ぎには、デモ隊がパウリスタ大通りのサンパウロ美術館前広場に集結。美術館前の車道が封鎖された。
ブラジリアでも、同日朝から議会前広場に多数のデモ隊がくりだした。デモ隊は官庁庁舎が並ぶ通りの国立図書館前に集合し、三権広場に向かって行進した。軍警は参加者を1万5千人、主催者側は5万人と発表している。
14日の夜に米国に出立したボルソナロ大統領は、15日朝、テキサス州ダラスで、「誰だって教育関係予算には手を付けたくない。報道で言われているような“予算カット”という表現は正確ではない。あくまで、税収減に備えた“緊急時対応計画”だ」とし、デモ隊に対しても、「奴らは何も分かってない馬鹿者たち」と言い放った。
教育相の呼び出しに307人の下議賛成
また、14日には下院本会議で、ウェイントラウビ教育相を議会に召喚し、同件に関する説明を求めるとした決議案が、賛成307、反対82で可決された。
オルランド・シウヴァ下議(ブラジル共産党・PCdoB)が提出した決議案にはセントロンも賛同しており、反対したのはボルソナロ大統領所属の社会自由党(PSL)とノーヴォだけだった。ボルソナロ政権内に3人の閣僚を擁し、ロドリゴ・マイア下院議長も所属する民主党(DEM)も、採決出席14人中11人が賛成に回った。
政府が社会保障制度改革のために必要な、下院議員308人の賛成を取り付けるのに苦戦している中、政府の思惑とは逆の方向に307人の議員が動いたことの意味は大きい。15日の株式、為替市場はまた株安、レアル安に振れ、午後5時現在のIbovespaは9万1303・8ポイント、1ドルは3・996レアルをつけた。