4月10日夜、ロスのアジア料理レストランKingBuffetで、故郷巡り一行53人は南加県人会協議会のメンバー64人と交流食事会をした。
ブラジルで言えば県連のような組織で、38県人会・団体が傘下にある。うち関西クラブは4府県が加盟しており、実質41都道府県が加盟しているという。さすが全米最大の日系人数を誇るロスだけある。
だが、世界第2位の日系人口を誇る米国で一番日系人数が多いロスですら41都道府県ということは、ブラジルのように47都道府県が全てそろっている国は他にないに違いない。
同協議会の副会長・北垣戸(きたがいと)和恵さんが開会の挨拶をし、水谷ハッピー会長(岐阜出身)が「心から歓迎します。ブラジルは遠いが、祖国を思う気持は同じ仲間だと思っています。やはり100年以上も前に移民が始まって今も日系社会を維持してこられ、さぞやご苦労もあったのでは。ゆっくり語り合いましょう」と挨拶した。
ロス最古の県人会は鹿児島で1899年創立だという。ハッピーさんによれば「100年を越えている県人会が半分ある」というから、さすがは移住国として先輩の米国だけある。
同協議会主催で最大のイベントは10月に開催される「演芸会」で、各県人会代表の芸自慢が民謡、日本舞踊など20組ほどが披露するという。来場者は200人程度というが、日本から演歌歌手を呼んだりすると言うから本格的だ。若者への文化普及の目的もあり、日本文化を勉強するための奨学金を5~10人に出しており、そのイベントで授与式をするという。
その他、ロス日系社会最大のイベント「二世ウィーク」の中で、七夕祭りをしているという。吹き流しを何十基も作って飾るのだという。リベルダーデ七夕祭りに似ている。その他、チャリティーゴルフ大会、ボーリング大会、役員が毎年替わるために就任式などの定例行事がある。
ハッピーさんによれば「いまは互助的な役割はまったくありません。古い県人会は年寄りが多く、若い人中心の県人会と二極化が進んでいる。会長が三世で英語を中心に活動するところが8県人会はある。特に沖縄県人会は三、四世が中心で会員は1500人を数えます」とのこと。ここでも沖縄勢の活躍は目覚ましい。
故郷巡りの市川利雄団長(富山県人会会長)は英語でスピーチし「この故郷巡りは今回が50回目、県連が主催する日本祭りは今年22回目。昨年は移民110周年を記念して眞子内親王殿下がご来伯され、我々がギネス記録に挑戦で作った約500品の日本食をご覧になり、『見たことない郷土食がありますね』とおっしゃられました」とブラジル日系社会の動きを紹介した。
在ロス日本国総領事館の松尾浩樹首席領事は、「ご遠方からお疲れのことと思いますが、それを感じさせない皆様のバイタリティに驚きます」とし、続いて本橋幹久前県連会長が「Cheers(英語チアーズ)、ビーバ、乾杯」と3カ国語で乾杯の音頭をとると、和やかな歓談となった。(つづく、深沢正雪記者)