まだ大きなメディアが取り上げてはいないが、国内のSNSで密かに話題になりはじめている事態が起きている。13日、ニュース・サイトDCMはボルソナロ大統領次男のカルロス氏が、昨年の7月7日~9日にかけて、サンタカタリーナ州サンジョゼにあるガン・クラブ「38」に通っていた事実を報じた。これはカルロス氏自身のインスタグラムで16日現在でも2枚の写真と1つの動画で確認されることで、そこには「38」の公式インスタのリンクまでが貼られてさえもいる▼これの何が驚きかと言うと、このガン・クラブは、昨年9月6日に、当時大統領候補だったボルソナロ氏をミナス・ジェライス州ジュイズ・デ・フォラでキャンペーン中に同氏の腹部を包丁で刺した犯人アデーリオ・ビスポ容疑者が、射撃訓練を行なっていたとされるのと同じところだったからだ。しかもカルロス氏が到着する2日前からそこに通いはじめていたという▼アデーリオ氏が「38」に7月5日から通っていたことは、昨年のボルソナロ氏の死傷事件の翌日には報じられていたことだ。ただ、その際、このガン・クラブは「カルロス氏と(三男の)エドァウルド氏も会員だ」ということは報じられていたものの、「接触はなかった」ということでマスコミには注目されず、警察の捜査でもアデーリオ氏を「精神障害者」として判断し、その背後にいるかもしれない「指令者」の存在は否定されたままだった▼だが、カルロス、アデーリオの両者が接触可能だった事実が、カルロス氏のSNSに長期間にわたって掲載され続けていたにも関わらず、ここまで気がつかれずにいたとは▼カルロス氏の存在が注目されはじめたのは、リオ市議という本来の職務がありながら大統領府に我が物顔で入り浸り、ボルソナロ政権に口出しをして閣僚内部で顰蹙を買いはじめた今年に入ってから。それまではボルソナロ家の中でも注目度は低かった方だったから、深く注目されなかったのか。あるいは警察はもう調査済みで「問題なし」としたことなのか。ガン・クラブに通い始めた頃、アデーリオ氏は無職であったにも関わらず、1日の使用料600レアルを払っていたというが、これが本人支払だったと警察は確信していたのか。そこも含めて気になるところだ▼またコラム子は、この件に関してもうひとつ気になることを覚えている。それはボルソナロ氏の所属政党・社会自由党(PSL)の副党首で同氏の大統領選の選挙参謀ながら、党内部のスキャンダルの責任を負わされ、大統領府総務室局長を2月に辞任させられたグスターヴォ・ベビアーノ氏が、カルロス氏について語った言葉だ。同氏は昨年11~12月の政権引継ぎ時に我が物顔で振舞っていたカルロス氏と大喧嘩をし、それ以来、犬猿の仲だ。そのべビアーノ氏は辞任直後のインタビューで「彼は他のキャンペーンの時は姿を現さなかったのに、なぜか父親が刺されたあの日だけはいた」と語っていた。カルロス氏は事件のその日、父の周囲で群衆の整理をしている▼コラム子は3月15日付の本コラムでも、昨年3月に殺害されたリオ市議、マリエーレ・フランコ氏の殺害関与で逮捕されたミリシア(民兵)のリーダー格の母親を、ボルソナロ家長男のフラヴィオ氏がリオ州議の職員として雇っていたこと、殺害実行犯がボルソナロ氏の家の隣人だったことをあげて「大きな奇遇」と書いた。今回のこのカルロス氏の件もただの「奇遇」としてすぼんで行くのか、それとも・・。(陽)