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《ブラジル連邦政府》教育と医療の予算削減諦める=50億レアルはどこから削る?=専門家は計画性のなさを指摘

パウロ・ゲデス経済相(Marcos Correa/PR)

パウロ・ゲデス経済相(Marcos Correa/PR)

 【既報関連】ブラジル国内全200以上の市で15日に発生した抗議デモの影響を受け、連邦政府は教育部門と保健医療部門に関してはこれ以上の予算削減を諦めるだろうと、17日付紙が報じた。
 政府は週明けにも新たな省庁別の予算削減案を発表するが、経済省のスタッフは、教育省の予算削減を行わなくても済むようにするための計算を行っている。
 教育省に割り当てられていた予算の内、57億レアル分が緊急時対策プラン(contingenciamento)の対象となると、連邦政府が発表したことがデモ発生に繋がっていた。
 連邦政府は、「緊急時対策プランとは、税収が足りなかった場合に一時凍結することがあるという意味。予算削減ではない」と、マスコミのミスリード、国民の誤解を指摘してはいる。
 教育省に加えて、保健省の予算も週明けに発表される緊急時対策プラン(事実上の“予算削減”のため、以後「予算削減」または「削減」)には入らない見込みだ。
 3月に300億レアルの予算削減を発表した経済スタッフにとり、教育省と保健省以外の省庁だけでまとまった額の削減案をまとめるのは容易ではない。
 だが、今年第1四半期の国内総生産(GDP)が2年ぶりのマイナスとなる可能性も指摘される中、税収減により、さらに50億レアルの削減が必要になると現地紙は分析している。
 最新の経済情勢や予測値と、今年度予算の状況を反映させた上での予算出納帳(2カ月おきに発表)の発表を、政府は22日に控えている。政府は3月に大きく削減された省庁からの削減は、今回は見送る予定だ。
 公費の監視を行う非政府団体コンタス・アベルタスが行った調査によると、3月の予算削減で最も影響をうけたのは鉱山動力省で、79・5%の予算が削減された。そのため、年末までの予算は10億レアルしかない。
 30~40%の範囲で削減されたのは、インフラ省(39・0%)、国防省(37・9%)、観光省(37・3%)、科学技術省(36・1%)、地域開発省(32・4%)だ。
 公的費用の専門家ラウル・ヴェローゾ氏は、「総予算10億レ以下の省庁は、削減効果も少なく、ちょっとの削減で機能不全に陥るから、予算削減対象とすべきではない」としている。しかし、予算規模10億レアルかそれ以下の省庁でも、観光省、環境省(22・8%)女性人権省(20・1%)などが削減対象になった。
 ジェトゥリオ・ヴァルガス財団所属の公共行政学部教授、グスタヴォ・フェルナンデス氏は、「政府に計画性がないのが大きな問題だ。予算配分のためのしかるべき基準も、時間的期限を設定した目標もない」と批判している。