【上野】子供がやるやらないは別にして、言っておくことは大切ですよ。私の知人で若くして亡くなられた方がいた。その人の家族は皆キリスト教。でもその人は小さいときから日本語を習ってて、日本の魂があったんでしょうね、『自分が死んだときには仏教でやってくれ』って言うとったんですって。若いのに。
その後のミサとかは奥さんがキリスト教式でやってましたが、最初の葬式はちゃんと意志を尊重してやってましたよ。
【中川】先般、私の友人が亡くなられ、四十九日法要に行きましたら、キリスト教式の進行で、ポルトガル語で行われていたんですね。
私はポルトガル語がわからないものですから、皆の動きに合わせて振舞っていたんですが、自分の葬式や四十九日は日本語でやって欲しいなと感じましたね。
【深沢】あとは銀行口座にあるお金とか。本人が亡くなってブラジルに身寄りが無い人だと政府に没収されると言いますね。不動産を持っていて本人が何も言わないで死んだら政府が没収みたいなことになる。
自分が死んだら援協に寄付してくれとか、前もって指示できるならしたいですよね。
【上野】うちはもう財産はほとんど子ども達の名前にしているからね。お金は子供2人の名前にしてますよ。
私が一番心配しとったのはね、会の会計を担当しているときにいつ何処で事故を起すかわからないということ。若いときから色んな団体の世話をしてきましたが、そこがいつも心配だった。
だから家にパスタ(書類入れ)を作って子ども達に、「これはどこの、これはどこの」って説明して、そこにお金と会計簿をちゃんと入れてやってましたよ。あるところでは会計していた人が急に亡くなって、会のお金が動かせなくなってしまったことがあった。
【深沢】その辺も生きている内に、口座名義を連名にしておくとか、他の人でも動かせるように手続きしておかないといけないですよね。
【中川】お金もだけど、ピニェイロスで長い間会長さんをしてくださった後藤さんをご存知ですか?
【深沢】静岡県人会の会長もされた?
【中川】そう。色んな会を助けてくれてた方なんだけど、生前にそういう関係者の連絡先をご家族に伝えていなかったみたいで、後藤さんが亡くなった際に、誰もお葬式に行けなかったということがあって…。お世話になって御礼を伝えたい人もたくさんいたんだけど、とても残念でした。家族には、いざという時の報せを伝えて欲しい人をちゃんと伝えておくことも大切だなと思いましたね。
【深沢】あとは、家族が居る場合はいいんですけど、独り者で火葬して欲しい人は、前もって書類を作っておく必要があるんですよね。
また、独り者の方もそうですが、子供がいない一世の夫婦だと、誰も墓参りしてくれる人がいないから、お墓を買うことにちょっと疑問が生まれる。どこかのお寺に遺骨を納めて、永代供養してもらうのが一番いいんだろうか、とか考えますよね。
サントス港に持っていって散骨できないか、とか、色々と思うんですが、法律的にどうなのか、いくらぐらいかかるのかと、良く分からないんですよね。
(つづく)
古藤弁護士のアドバイス=(2)=独身者の火葬に必要なものは?=海に散骨してもいいの?
独身者が亡くなった場合、行政によって共同墓地に土葬されます。火葬を望む場合は、事前にお世話になる予定の火葬場に出向いて『火葬希望申請書(Declaracao de Vontade de Cremacao)』を取得、提出しましょう。申請書には執行責任者の署名も必要で、死後にはその人に火葬の手配をしてもらうことになります。
海への散骨については、法の規制はありません。しかし、一度してしまったら取り返しがつきませんので、よく考えた上で実行することをオススメします。
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古藤弁護士は、無料の法律相談をサンパウロ日伯援護協会リベルダーデ診療所で、毎週金曜日の午後2時から4時まで先着順で行っている。