自身のトレードマークでもある犯罪防止法をなんとか通そうと、セルジオ・モロ法相が、下院相手に自ら政局調整(アルチクラソン)に奔走していると、19日付現地紙が報じている。
9日の両院合同委員会で、金融活動管理審議会(COAF)の管轄を法務省から経済省に戻す判断が下された後、モロ法相は「連邦政府側のアルチクラソン」が足りないからだと発言したが、エスタード紙によると、モロ氏は1月以降既に、犯罪防止法を実現させるため、全体の5分の1以上にあたる106人の下議に会っているという。
106人の内、大勢を占めるのはボルソナロ大統領の社会自由党(PSL)の31人だ。また、44人が下院の銃グループの議員だという。個人で最も会っているのは、下院銃グループのリーダーのカピトン・アウグスト氏(共和党・PR)と、PSL上院リーダーのマジョール・オリンピオ氏の各4回だ。
会合の数も月を追うごとに増えており、1、2月が共に15回だったところが、3月は27回、4月は39回、5月も16日現在で33回を数えている。
この106人という数は、連邦政府内でのアルチクラソン担当であるオニキス・ロレンゾーニ官房長官の125人に次ぐ数字だ。逆に言うと、現在の連邦政府のアルチクラソンは、自分の関心事に積極的に取り組む1人の大臣のなしうる範囲程度にとどまっていることを意味する。
さらに、フォーリャ紙の報道によると、モロ法相は16日の午前中、ロドリゴ・マイア下院議長の自宅を訪れ、下院審議が後回しにされている犯罪防止法案の承認を支持してくれるよう、頼みに行ったという。
マイア議長はその時、ちょうど、中道政党グループ、「セントロン」の党員を中心とする議員ら数十人と会合を行っていた。セントロンの中核である進歩党(PP)や社会民主党(PSD)、共和党(PR)などの議員は、ラヴァ・ジャット作戦の担当判事だった頃のモロ氏が党の中枢の政治家を捜査対象としたことや、モロ氏に政治権力が集中するのを恐れて、強いけん制心を持っていると言われている。
この会議の最中にモロ氏が向かったのは、COAFをいま一度法務省に取り戻す可能性を探ったからではないかとも見られている。
だが、12日にボルソナロ大統領が「次に最高裁判事の欠員が出たら、その座をモロ氏に与えたい」と発言したことが、最高裁判事に指名された人物が的確か否かを最終的に判断する立場である上院を無視したとして、連邦議会内ではモロ氏への拒否感を強める結果にもなっている。